• 資産管理は日本マスタートラストとステート・ストリートの2信託に
  • 不正行為に関するCBJ発表との関連は「全くない」-宮園理事長

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、資産管理を委託していた日本カストディ銀行(CBJ)から、81兆円を超える全資産を引き揚げたことが7日、分かった。

GPIFの宮園雅敬理事長Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  同日公表した2022年度の業務概況書で明らかになった。20年度にはCBJが約81兆1000億円の資産管理をGPIFから委託されていたが、2年間で資産が引き揚げられ、22年度末にはゼロになった。

  GPIFは国民の年金の積立金を運用する立場から、運用委託機関や決済業務を担う資産管理機関を対象に、手数料やシステム対応の面で定期的に評価している。80兆円もの巨額資産を移管した事実は、GPIFの厳しい評価体制を裏付けていると言えそうだ。

  業務概況書によると、CBJに委託していた資産は大半が日本マスタートラスト信託銀行(MTBJ)に移管された。これでGPIFの資産管理機関は1行減り、MTBJとステート・ストリート信託銀行の2行体制となった。 

  GPIFの宮園雅敬理事長は同日の記者会見で「資産管理機関に対して期待する事項も複雑化している。総合評価を踏まえながら、管理コストや有事の際のBCP(事業継続計画)も十分考慮しつつ、資産管理機関の最適化に努めていく」と述べた。元取締役による不正行為が判明したとのCBJによる先月の発表との関連については「全くない」と述べた。

  CBJの広報担当者からのコメントは得られていない。

  CBJは、20年に三井住友トラスト・ホールディングス(TH)とみずほフィナシャルグループ(FG)のそれぞれの系列の資産管理信託銀行が合併して誕生した。三井住友THが33.3%、みずほFGが27%、りそな銀行が16.7%を出資。そのほか、第一生命保険や朝日生命保険なども出資している。

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