[ロサンゼルス 13日 ロイター] – 米俳優組合(SAG─AFTRA)は、スタジオ側との契約交渉が決裂したことから、14日からストライキに入ることを決めた。全米脚本家組合(WGA)も5月からストを続けており、米エンターテインメント界の混乱が拡大することになる。 米俳優組合(SAG─AFTRA)は、スタジオ側との契約交渉が決裂したことから、14日からストライキに入ることを決めた。スト決定後の記者会見で撮影(2023年 ロイター/MIKE BLAKE)
両組合が同時にストを決行するのは63年ぶり。
俳優組合(16万人の映画・テレビ俳優などで組織)と脚本家組合はともに、ストリーミング配信時代における基本給と報酬の増額のほか、仕事が人工知能(AI)に取って代わられない保証を求めている。
俳優組合は13日の記者会見で、理事会が全会一致でストを承認したと明らかにした。
フラン・ドレシャー会長は、俳優たちの懸念に対するスタジオ側の対応は「侮辱的で無礼」だと非難。「われわれは非常に多くの点で見解がかけ離れている。経営トップには何億ドルもの報酬を出しながら、お金がないと言うなんてうんざりする」と語った。
ネットフリックスやウォルト・ディズニーなどの製作スタジオを代表する全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)は「俳優組合が交渉から離れる決定したことに深く失望している」と述べた。
5月から続く脚本家組合のストを受け、テレビ界では深夜のトーク番組が再放送を余儀なくされ、秋の新番組は大半が中断された。また、巨額の予算を投じる大作映画の製作もストップしている。
リドリー・スコット監督がモロッコとマルタで撮影していたパラマウント・ピクチャーズの映画「グラディエーター」続編など、組合所属の俳優が参加する多くの海外撮影にも支障が出るとみられる。
ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は13日、脚本家組合と俳優組合は非現実的な期待を抱いているとCNBCにコメント。エンタメ界が新型コロナウイルス禍から回復しつつある中で混乱に拍車をかける最悪の時だとし、「非常に憂慮している」と述べた。
俳優のマット・デイモンさんは12日に開催された映画のプロモーションイベントで、「お金が儲かっているなら、ぎりぎりの生活をする人々に配慮した形で配分する必要がある」と述べた。
一方で、多くのストリーミング動画サービスは顧客獲得のために大規模な予算を投じているものの、まだ黒字化できていない現実もある。ディズニー、コムキャスト傘下のNBCユニバーサル、パラマウント・グローバルは直近四半期に動画配信で数億ドルの損失を計上した。