- 米リセッション想定せずとイエレン氏、ドル高時代終焉か、中国経済
- ウクライナ産穀物の輸出合意が失効へ、マイクロソフトに追い風
米経済がリセッション(景気後退)を回避できそうだとの見方が17日に複数示されました。イエレン米財務長官がリセッションを想定していないと発言。ゴールドマン・サックス・グループは向こう1年間にリセッションが始まる確率を引き下げました。インフレなどの経済データが背景にあります。ただリセッション予想を維持する市場参加者ももちろんおり、見極めにはさらなるデータが必要になりそうです。18日には6月の小売売上高や鉱工業生産指数などが発表されます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
想定せず
イエレン長官は中国の景気減速が世界中に波及するリスクはあるとしつつ、米国のリセッションを想定していないと述べた。ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「多くの国が自国経済の促進に向け、力強い中国の成長に依存している。特にアジアの諸国がそうだ。中国の成長減速は米国にある程度の悪影響を及ぼす可能性もある」と語った。その上で、米国の「成長は減速したが、労働市場はかなりの力強さを維持している。リセッションは予想していない」と発言した。
ドル高時代ついに終焉か
ドルが先週、週間ベースで昨年11月以来の大幅安となったことで、世界の基軸通貨であるドルについに転機が訪れつつあるとの見方が浮上している。ドルがこの1年余りの最安値に沈んでいる背景には、インフレ鈍化の兆候を受けて米金融当局の利上げ終了が近いとの観測が強まっていることがある。ドル弱気派はさらにその先を見ており、利下げは不可避だと主張している。現在の市場のコンセンサスは2024年のある時点で利下げが行われるとの見方だ。
失望
中国が17日発表した経済成長率は失望を誘う結果となり、複数のエコノミストが今年の同国の成長率見通しを引き下げた。JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレー、シティグループなどは今年の中国の経済成長率を5%に下方修正。シティのエコノミストによる経済成長率の従来予想は5.5%。中国当局が今年3月に掲げた5%前後の成長率目標の達成は今の段階では危ういとみている。JPモルガンの従来の成長率予想は5.5%、モルガン・スタンレーは同5.7%だった。
打ち切り
ロシアはほぼ1年続いたウクライナ産穀物の輸出合意を打ち切った。世界の食糧供給を巡る不透明性は高まり、地域の緊張はエスカレートしそうだ。ロシアは自らの輸出が妨げられているとして、合意からの離脱を再三にわたり示唆していた。合意は5月に2カ月間延長され、17日に期限を迎えた。合意で安全が保証されていた黒海の輸出ルートが絶たれると、中国やスペイン、エジプトなどの主要購入国が打撃を受ける。
追い風
マイクロソフトが計画する690億ドル(約9兆5900億円)でのアクティビジョン・ブリザード買収は、実現に向けて勢いを一層強めた。ロンドンの競争控訴裁判所は英競争・市場庁(CMA)による買収差し止めの解除を巡る審理を行い、差し止めを一時的に執行停止とすることは可能だと判断した。これにより、競争当局の懸念を和らげるための計画修正を協議する道が開かれた。
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