[ロンドン/東京/ベンガルール 25日 ロイター] – 人の眼の虹彩のデータを収集するのと引き換えに暗号資産(仮想通貨)を無料で配布する「ワールドコイン」プロジェクトが世界各地で24日に本格始動し、日本、英国、インドなどで実際に瞳のスキャンが行われた。
同プロジェクトは生成AI(人工知能)「チャットGPT」を提供する米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が立ち上げた。集めたデータを個人のデジタルIDとすることでネット利用者が自動プログラムではなく人間であることを証明する仕組みを整える狙いがある。
東京で25日に開催された暗号資産関連イベントでは、「オーブ」と呼ばれる瞳をスキャンする銀色の球体の前に人々が列をなした。スキャンを受ければ仮想通貨「ワールドコイン・トークン(WLD)」25枚が無料で受け取れる。
ロイターの取材を受けた参加者は、個人情報収集への懸念と同プロジェクトに対する好奇心を比較検討した上で参加したと語った。ワールドコインは過去2年間の試行期間を中心に120カ国で200万人以上のIDを作成したとしている。
WLDは世界最大の暗号資産交換所バイナンスで25日時点で約2.30ドルで取引されている。
ただ、米プライバシー保護団体、電子プライバシー情報センター(EPIC)は「プライバシーの悪夢が起こり得る」と警鐘を鳴らす。英国をはじめ規制当局も注視している。