[ワシントン/ニューヨーク 26日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は25─26日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、5.25─5.50%とした。
FRBはインフレはなお高水準にあると指摘。前回6月の会合では利上げを見送っており、2会合ぶりに0.25%の利上げを再開。政策金利は16年ぶりの高水準となった。決定は全会一致だった。
<9月利上げの可能性否定せず>
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、今回の利上げに続き、9月の次回会合でも利上げを決定する可能性があると指摘。「データで裏付けられれば9月の政策決定会合で利上げを行う可能性は確かにある」と述べた。
同時に、データ次第では同会合で金利を据え置くことを選択する可能性もあるとも言及。金融政策を検討する際に幅広いデータが考慮されるとし、FRBは会合ごとに金融政策を決定していくと述べた。
また、金融政策の先行きが不透明な中、FRBは引き続き長期にわたり金利を高水準に維持する必要があると表明。「FRBは任務を遂行しなければならず、当面の間は政策を制約的に維持する必要がある。利上げが適切と判断されれば、さらに利上げを行う用意がある」と述べた。
ただ、FRBが再び利上げを行うかどうかは、今後の政策決定会合が開かれる時点のデータ次第になるとし、「多くのフォワードガイダンスを提供したい環境ではない」とも述べた。
FRBが利下げに転じる可能性については、年内にはないとの見通しを表明。また、FRBは将来的にバランスシートの縮小を継続しながら、利下げに踏み切る可能性もあると指摘。経済動向次第では、一見矛盾する方向に動くこの2つの政策が実施されることはあり得ると語った。
米経済については「高水準の雇用喪失をもたらすような深刻な景気後退(リセッション)を伴わずに、インフレ率を目標値まで低下させられるというのが私自身のベースシナリオだ」と述べ、米経済は大きなダメージを受けることなく、より均衡が取れた状態に戻るとの見解を表明。ただ、その道筋は「確実には程遠い」とも述べた。
FRBスタッフがもはや米国の景気後退を予想していないとも指摘。高水準の雇用喪失なしにインフレ率が目標値に戻る可能性はあるものの、こうした経済の「ソフトランディング(軟着陸)」を実現するには「まだ多くのことが残されている」とし、「FRBスタッフは今年はこれから成長率が顕著に鈍化すると予測しているが、最近の経済の回復力を考えると、もはや景気後退を予測していない」と語った。
また、ロシアが延長に合意しなかったことで黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)が停止されたことを受け、FRBは穀物市場の動向を注視していると述べた。ただ、今のところ米国のインフレを押し上げるような動きは確認されていないとした。
<経済見通し上方修正>
FRBは声明で「FOMCは追加の情報と金融政策への意味を引き続き評価する」とし、「徐々にインフレ率を2%に戻すために適切とみられる追加的な金融政策の引き締めの程度を決めるに当たり、金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ、および経済と金融の動向を考慮する」と表明。前回6月の声明文の文言をほぼ踏襲し、FRBが現在の引き締めサイクルの終了を模索する中で、政策の選択肢を残した。
雇用の伸びは「堅調」と指摘。経済活動は「緩やかな(moderate)」ペースで拡大しているとし、6月の前回声明の「控えめ(modest)」から幾分上方修正した。
ネイションワイドのチーフ・エコノミスト、キャシー・ボストヤンチッチ氏は「FRBはインフレが低下傾向を続けなければ、追加利上げの可能性を残しており、フォワードガイダンスに変更はなかった」との見方を示した。