[モスクワ 15日 ロイター] – ロシア中央銀行は15日、緊急会合を開催し主要政策金利を3.5%ポイント引き上げ12%とした。通貨ルーブルの下落に歯止めをかけることが狙い。 

声明で「インフレ圧力が高まっている。この決定は物価安定のリスクを抑えることが目的」と説明した。

「ルーブル安の物価への波及効果は強まっており、インフレ期待が高まっている」と指摘した。

ルーブルは14日、1ドル=100ルーブル台に下落した。これを受け、プーチン大統領の経済顧問マクシム・オレシキン氏は、大統領府は強いルーブルを望むと表明し、緩和的な金融政策がルーブル安の主因だとの認識を示した。オレシキン氏の発言の数時間後に中銀は緊急会合の開催を発表した。

中銀の発表後、ルーブルは上げ幅を縮小しマイナス圏になった。

1018GMT(日本時間午後7時18分)時点で0.5%安の1ドル=98.17ルーブル。それでも前日付けた約102ルーブルからは大きく回復している。

ロシア中銀が最後に緊急利上げを行ったのは、ロシアがウクライナに侵攻した直後の2022年2月下旬で、政策金利を20%へ引き上げた。その後はインフレ圧力が緩和するにつれて22年後半に7.5%まで利下げした。

22年9月以降は金利を据え置いてきたが、今年7月に1%ポイントの利上げを行った。次回の定例会合は9月15日に予定されている。

ナビウリナ中銀総裁は、ウクライナ侵攻開始以降の政策運営を高く評価されていた。しかしルーブルの急落とインフレ高進で、侵攻推進派の右派を中心に総裁批判が広がった。

エクイティ・キャピタル(ロンドン)のチーフマクロエコノミスト、スチュアート・コール氏は「これほどの(ルーブル)下落はインフレを加速させるリスクとともに、ウクライナ侵攻のコストを国民に示唆することになる」と指摘。「きょうの決定には、経済とともに政治要因も働いている」と述べた。

インフレ率は22年に二桁だったが、今年春にはベース効果もあって低下した。しかし再び中銀の目標の4%を超えて加速している。

中銀によると、季節調整済みの年率でインフレ率は過去3カ月で7.6%上昇した。

当初の声明では、将来の利上げを検討するという通常のタカ派的なガイダンスを削除した。このため一部のアナリストは金利がピークに達したとの見方を示した。

しかしその後に発表した追加声明では「インフレ高進のリスクが強まった場合は追加利上げも可能」とした。

中銀はルーブル安の原因が経常黒字の縮小とみて、すでに対応に乗り出している。先週、財務省に代わって実施している外貨買い入れを年末まで休止すると発表した。これは、財務省が状況に応じて外貨を売買すると規定した予算規則を事実上停止する措置だが、アナリストはルーブルの下支えには力不足と指摘していた。

キャピタル・エコノミクス(ロンドン)の新興国シニアエコノミスト、リアム・ピーチ氏は「制裁のためロシアは資本呼び込みに苦労する。しかも為替介入のための資源も乏しい。中銀は凍結していない人民元資産と金準備をある程度持っているが、これを使うハードルは高そうだ」と述べた。