10日、日曜日。朝4時に目覚めた。二度寝を我慢してテレビをつける。日本対ドイツの国際親善試合。普段はみないのだが、昨年11月のW杯一次リーグ初戦の勝利がフロッグ(まぐれの意味)でなかったかどうか、確認したかった。結果は周知の通り4対1で日本の圧勝。W杯で日本は勝つべくして勝ったのだ。たかが親善試合というなかれ。W杯で4度優勝のドイツはサッカー強豪国。前々回に次いで前回のW杯も予選リーグで敗退している。ドイツサッカーにいったい何が起こっているのだろうか。日本との親善試合に敗れれば、ハンジ・フリック監督は解任されると言われていた。親善試合とはいえ、ドイツは真剣勝負を挑んでくるだろう。日本にとっては最高の練習試合になる。そんな思いでテレビをつけた。試合はすでに前半が終了。日本が2対1でリードしていた。

後半戦はフォーメンションを変えた。前半の4バックを3バックに変更。選手も何人か変えた。ボールポゼッションは圧倒的にドイツ。だが、ドイツがボールを持っても点が取られるという恐怖感はなかった。女子W杯のスペイン戦を見ているようだった。森保監督は常日頃から「いい守備からいい攻撃へ」と繰り返している。守備を固め、機を見て攻撃に転ずる。堅守速攻だ。この試合もこのシンプルな戦略に、チーム一丸となった戦術が面白いように決まる。チームゲームであるサッカーの一つの戦い方だ。W杯でみせた臨機応変のフォーメーションに、一段と磨きがかかっていた。ドイツは圧倒的にボールを支配しながら日本の堅守を崩せなかった。日本選手は昨年11月からさらに進化していた。これに対してドイツは旧態依然としたサーカーを繰り返した。サッカー強豪国だったが故に抜け出せない、かつてのパスサッカーに胡座をかいている。そんな気がした。 試合後のコメントが面白かった。森保監督「3バックだけでなく可変で、難しい戦術変更の中でも選手たちがこなしてくれた」。圧巻は個人的にこの日の最高殊勲選手だと思う冨安の発言だ。「まずはしっかりと勝てたことは大きいですし、ゲームをうまく進める。追加点は取りに行くよ、という指示は森保さんから出ていたので、後半3点目、4点目も取れて、狙い通りの戦いはできたと思います。W杯とは違った勝利。次につながる」。「いい守備からいい攻撃へ」、監督が指摘する「難しい戦術変更」を消化しながら選手は一貫してこの方針をつらぬいた。簡単ではないだろう。それを難なくこなすようになった。このチームは3年後のW杯でベスト8の壁ぶち破るかもしれない、そんな印象を受けた。進歩する新興チーム、胡座を書く強豪国。日本に敗北した翌日、フリック監督の解任が発表された。衰退するサッカーを尻目にバスケットのW杯はドイツが優勝した。スポーツの世界では明らかに下剋上が始まっている。