- 苫小牧から石狩含むエリア、米シリコンバレーに負けない場所に
- 多くの装置・素材メーカーが真剣に進出を検討していると小池氏
北海道千歳市で次世代半導体の量産を目指すラピダスの小池淳義社長は、2030年までに半導体関連企業や研究機関、大学が集まる「北海道バレー」の実現を視野に入れている。
小池氏は5日のインタビューで、自治体とも協力して苫小牧から札幌、石狩に抜ける一帯を「北海道バレー」と名付けて、「シリコンバレーに負けないような開発」を目指すと述べた。サプライチェーンを集積化すれば顧客の求めに素早く対応することが可能になる。
小池氏は「非常に多くの装置メーカー、素材メーカーが真剣に検討している」として、北海道バレー構想に自信をのぞかせる。西村康稔経済産業相は1日、記者団に対し、ベルギーの半導体研究機関imecと米半導体製造装置メーカーのラムリサーチが北海道に拠点を設立する方針だと明かした。
昨年8月に設立されたラピダスは、2027年に2ナノメートル(ナノは10億分の1)のロジック半導体量産を目指す。日本政府は半導体の安定供給確保を経済安全保障上の重要課題に掲げ、これまで同社に計3300億円の支援を決めている。
ただ、ルネサスエレクトロニクスなど日本の半導体メーカーが生産するのは40ナノまでで、ラピダスの目標達成には懐疑的な見方もある。業界トップの台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子ですら、2ナノの量産化に至っていない。
北海道バレー
ラピダスは地元自治体と協力し、2030年までに実現を目指す
バレー化には地域経済活性化への期待も高い。熊本県はTSMCの進出などで一足先に半導体産業の集積化が進んでおり、九州フィナンシャルグループは同県への経済波及効果について、22年から31年の10年間で6兆9000億円規模に上ると試算した。
北海道経済産業局によると、千歳市にはミネベアミツミグループのミツミ電機のアナログ半導体工場やSUMCOのシリコンウエハー工場があるが、熊本県のような半導体サプライチェーンの構築にはまだ時間がかかる。