米イランが囚人5人を交換、イラン資産60億ドルの凍結解除も

[ドーハ/ニューヨーク/ソウル 19日 ロイター] – 米国とイランは18日、カタールを仲介役とする数カ月間の協議を経て、双方がそれぞれ拘束している囚人5人ずつを解放、交換した。これに先立ち、米国の制裁により韓国で凍結されていたイラン資産約60億ドルが解除された。

関係筋によると、イランの資産が韓国からカタールに移動されたことを双方が確認した後、カタールが用意した飛行機によりイランに拘束されていた米国人5人とその親族がイランから出国。カタールを経由して米国に向かった。イラン当局者は米国人の健康状態に問題はないとしている。

韓国外務省も19日、同国で凍結されていたイランの資金がカタールに送金されたことを確認した。

また米当局者によると、米国で拘束されていたイラン人5人も同時に釈放された。イラン外務省のカナニ報道官によると、釈放されたイラン人のうち2人はイランに戻るが、別の2人は本人の希望で米国に留まるほか、残る1人は第三国で家族と合流することになるとした。

バイデン米大統領は声明で「イランで収監されていた5人の無実の米国人の帰国がついに実現する」と説明。また、解放の確保に協力したカタール、オマーン、スイス、韓国の各政府に謝意を表明した。

国連総会出席のためニューヨークを訪れているイランのライシ大統領は 今回の囚人交換について「純粋に人道的な行動だ」とし、「将来的な人道的行動への一歩となる」と語った。

米政府高官は、今回の合意は米イラン間の対立関係を変えるものではないが、イランの核開発計画に関する外交の扉は開かれていると指摘。「機会があれば模索するが、今は話すことはない」と述べた。

カナニ報道官は凍結が解除された資産について18日にも利用可能になるとした。今回の合意の下では、凍結が解除されたイラン資産は人道目的のみに使用され、米国の制裁対象にあるものには使用されないようカタールが監視することになる。

<新たな制裁>

バイデン大統領は、米国人の「不当な拘束」に関与したとして、イランのアハマディネジャド元大統領と同国の情報省に制裁を科すと発表。声明で「イランの挑発的な行動に対し、今後も代償を求めていく」とした。