[ロンドン 20日 ロイター] – スナク英首相は20日、ガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止時期を2030年から35年に先送りすると表明した。来年に総選挙が予定される中、一部のグリーン政策を縮小することで高インフレと経済低迷に見舞われる有権者を取り込みたい考えとみられる。
50年までに排出実質ゼロを達成する目標に変更はなく、英国が「世界のどの国よりもはるかに進んでいる」ため進捗を遅くする余裕があると述べた。
その上で、エネルギー転換による家庭の「容認できないコスト」を軽減することが目的と説明。家庭でのガスボイラーからヒートポンプへの移行を緩和し、どの家庭にも断熱性能向上を強制しないとも述べた。
スナク氏は記者会見で、これまでの政権が国民の支持を得ることなく実質ゼロ目標設定にあまりにも早く乗り出したため、政策を変更するとした。
一方、世論調査で優位に立つ野党・労働党は、当初の30年目標を堅持すると表明した。
「気候変動に関する機関投資家グループ(IIGCC)」は、今回の措置は投資の妨げになるとし、欧州連合(EU)や米国のように安定した政策を打ち出すよう英国に求めた。