厚生労働省は1日午前の中央社会保険医療協議会で、医療機関や薬局が卸売業者から医薬品を仕入れる市場価格(9月分)の調査結果の速報値を報告した。患者が医療機関や薬局で受け取る際の公定価格(薬価)より平均約6・0%安かった。調査結果を踏まえ、政府は医療費の抑制に向け、2024年度の診療報酬改定では「薬価」部分を引き下げる方針だ。
厚生労働省
診療報酬の改定は近年、「薬価」を引き下げつつ、医師や看護師らの人件費などにあたる「本体」を微増させ、全体をマイナスとする調整が行われることが多い。医療界は、「医療従事者の賃上げが急務」として「本体」の大幅な引き上げを主張している。
一方、仕入れ価格と薬価の差は、前年度比で1・0%縮まり、診療報酬の前回改定時に参考にした21年度より1・6ポイント縮小した。材料費の高騰などが理由で、政府内では「薬価の大幅な引き下げは厳しい」(厚労省幹部)との見方が出ている。
診療報酬のプラス改定は、国費の歳出増や保険料の負担増につながるため、財務省はマイナス改定を求めている。今後、年末の改定に向けて「薬価」と「本体」のバランスを含めた議論が本格化する見通しだ。