[ワシントン 8日 ロイター] – 米労働省が8日発表した11月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増と、市場予想(18万人増)を上回った。失業率は3.7%に低下し、労働市場の底堅さが示された。
10月の非農業部門雇用者数は前回発表の15万人増から修正されなかった。
失業率は約2年ぶりの高水準だった10月の3.9%から3.7%に低下。4月には3.4%と53年ぶりの低水準を付けていた。
平均時給は前月比0.4%増。10月は0.2%増だった。11月の前年同月比は4.0%増だった。週平均労働時間は34.4時間と、34.3時間から拡大。週間総労働時間は0.3%増加し、前月の0.2%減から反転した。
家計調査に基づく雇用は74万7000人増。労働市場に新規参入した53万2000人を十分に吸収して上回る水準だった。
労働参加率は62.8%と、前月の62.7%から上昇した。
長期失業者の数は115万人と、13万2000人減。経済的理由によるパートタイム労働者数は398万8000人と、29万5000人減少した。
経済の雇用創出能力を示す労働力人口比率は60.5%と、60.2%から上昇した。
<利上げ局面終了の見方に変化なし>
非農業部門雇用者数の伸びは過去12カ月の月平均(24万人)を下回ったものの、労働年齢人口の増加に追いつくために必要な月10万人は大きく上回っている。
米連邦準備理事会(FRB)は2022年3月以降、合計5.25%ポイントの利上げを実施。フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標は現在5.25─5.50%となっている。
今回の雇用統計を受け、FRBの利上げサイクルは終了したとの見方に変わりはなく、今月12─13日の連邦公開市場委員会(FOMC)でも金利据え置きが決定されると予想されている。ただ、来年早々に利下げが実施されるとの金融市場の期待は尚早である可能性が示唆された。
FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフ・エコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「市場では24年に1.0%ポイントの利下げが実施される可能性が取り沙汰されているが、労働市場の再均衡化が向こう数カ月で一段と進まなければ、おとぎ話にすぎなくなる」と指摘。
ウィリアム・ブレア(ロンドン)のマクロ・アナリスト、リチャード・デ・チャザル氏は「比較的健全な内容だった」とし、「積極的な利下げが間近に迫っているとの観測は幾分か後退する」との見方を示した。
<ヘルスケア牽引、小売りは減少>
業種別で雇用者数が最も大きく伸びたのはヘルスケア部門で、7万7000人増。伸びの大半は病院、介護施設、住宅ケア施設などだった。
政府は4万9000人増。主に地方政府の雇用が増加した。
製造業は2万8000人増。全米自動車労働組合(UAW)のストライキが妥結したことで、自動車・部品が3万人増加した。
レジャー・接客は4万人増。主にレストランとバーの増加で押し上げられた。
一方、小売業は3万8000人減。百貨店のほか、家具、電化製品、家電量販店などで減少した。
運輸・倉庫は5000人減。将来的な雇用を示すとされる人材派遣は1万3600人減と、減少に転じた。