▽岸田首相、官房長官など安倍派の4閣僚交代 後任は林氏ら経験者<ロイター日本語版>2023年12月14日午後 8:09 GMT+9
[東京 14日 ロイター] – 岸田文雄首相は14日、政治資金問題で疑惑が浮上した自民党安倍派(清和政策研究会)所属の閣僚4人を入れ替え、政権の要である官房長官に林芳正前外務相を任命した。4ポストとも安倍派以外の閣僚経験者を後任に据えることで、党と内閣への信頼回復を目指す。
松野博一官房長官の後任に岸田派の林氏を、西村康稔経産相の後任に無派閥の斎藤健前法相を、鈴木淳司総務相の後任に麻生派の松本剛明前総務相を、宮下一郎農水相の後任に森山派の坂本哲志元地方創生担当相を起用した。安倍派に所属する副大臣5人と政務官1人も交代した。政権から安倍派の閣僚を一掃する形となる
官邸で記者団の取材に応じた岸田首相は「所属する政策集団(派閥)がどこかではなく、1人1人の意向や事情を勘案して判断した」と語った。「党全体が一致結束していくことが重要だ」と述べた もっと見る 。
自民党は安倍派を中心に、政治資金パーティー収入の一部を議員側に還流し、政治資金収支報告書に記載せずに裏金化していた疑惑が広がっている。複数の国内メディアは、東京地検特捜部が近く安倍派を強制捜査すると伝えた。日本テレビは、週明けにも安倍派、二階派(志帥会)の関係先への家宅捜索を行うとしている。
14日午後に会見した東京地検の新河隆志次席検事は「裏金疑惑について報道があるのは承知しているが、この件についてそもそも捜査しているのか、どのような捜査のありなし含め、捜査の方法や結果については答えを差し控える」とした。
就任後に会見した林官房長官は、国民から疑念を持たれるような事態は極めて遺憾だとした上で、「与えられた職責の中で、信頼回復に努めていきたい」と述べた。内閣と党への支持率が低下していることについては「国民の声を真摯に受け止め、政府の対応に生かしていく」と語った もっと見る 。
午前中の会見で官房長官の辞任を表明した松野氏は「国政に遅滞を生じさせないよう官房長官の職を辞したいと岸田首相に申し上げ、辞表を提出した」と語った。議員を辞職することは考えていないとした もっと見る 。経産相を辞任した西村氏は「疑念を持たれ捜査が行われている中で、けじめをつけるべきと判断した。捜査当局から求めがあれば、全面的に協力する」とソーシャルメディアに投稿した。
安倍派所属の自民党役員は、萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長が辞表を提出した。岸田首相と会談した公明党の山口那津男代表によると、3人とも22日まで職務を続けるという もっと見る 。
政権と党の要職から安倍派議員を外すものの、自身の岸田派(宏池政策研究会)でも同様の疑惑が伝えられている。岸田首相は13日の会見で「(党の)体質を一新すべく先頭に立って戦っていく」と語っていた もっと見る 。
時事通信が8─14日に実施した12月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比4.2ポイント減の17.1%。自民党の政党支持率も0.8ポイント減の18.3%で、2カ月連続で2割を下回った。
(竹本能文、杉山健太郎、久保信博 編集:田中志保)
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