Ian King
- 2-4月売上高見通しは240億ドル前後と予想の219億ドルを上回った
- 第4四半期の売上高は3倍余りに増え、過去最高の221億ドルに達した
人工知能(AI)向け半導体で圧倒的シェアを占める米半導体メーカー、エヌビディアは22日のニューヨーク株式市場で約9カ月ぶりの大幅上昇。前日に発表した売上高見通しはアナリストの予想を上回り、すでに世界最大の時価総額に上り詰めた同社の株価上昇にさらに勢いを付けた。
今年2-4月(第1四半期)の売上高見通しは、240億ドル(約3兆6000億円)プラスマイナス2%と、アナリストの予想平均(219億ドル)を超えた。昨年11月-今年1月(第4四半期)もウォール街の予想をしのぐ業績を記録した。
AIアプリケーションの高速化をサポートするハードウエア「AIアクセラレーター」への需要はとどまるところを知らず、期待を超える売上高見通しの連勝記録が今回も更新された。この技術は、簡単なプロンプトに基づいてテキストやグラフィックを作成できるチャットボットや他の生成AIサービスの普及に貢献している。
ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は「アクセラレーテッドコンピューティングと生成AIは転換点を迎えた。企業と業界、国を超えて世界的に需要が急増している」と発表資料でコメントした。
22日の米市場で株価は取引開始直後に13%上昇し、過去最高値を更新。取引時間中の値上がりとしては2023年5月以来の大幅となっている。
この時点でエヌビディアの時価総額は今年に入り6500億ドル(約97兆7930億円)余り増加し、1兆8900億ドルに到達した。同社がAIコンピューティングブームの主要な受益者であり続けると投資家は確信している。
AIの成長で恩恵を受けると予想される同業のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とブロードコム、マーベル・テクノロジーも株価が22日の市場で値上がりした。
昨年11月-今年1月(第4四半期)の純利益は122億8500万ドルと前年同期比769%急増し、売上高も四半期として過去最高を更新した。
フアンCEOはアナリストとのオンライン会見で、最新のエヌビディア製品に対する需要は今年いっぱい供給を上回り続けると予想し、供給は拡大しているが、需要減速の兆しはないと発言。「生成AIによって全く新しい投資サイクルが幕を開けた。今後5年で世界のデータセンターのインストールベースは倍増するだろう。年間数千億ドルの市場機会を意味する」と語った。
業績の数字に加え、CEOの楽観的なトーンは、旺盛な需要が続くという信頼を再確認するものとなった。
1月28日に終了した昨年度第4四半期の売上高は3倍余りに増え、過去最高の221億ドルに達した。前年同期は60億5000万ドル。一部項目を除く1株利益は5.16ドルだった。売上高は約204億ドル、1株利益は4.60ドルというアナリスト予想をいずれも上回った。ごく最近の2021年までは1年全体でこれほどの売り上げを記録することはなく、直近の成長のすさまじさがうかがえる。
AI開発向けの主力製品である画像処理半導体(GPU)を使うデータセンター部門は売り上げに占める割合が最も大きいが、同部門の売上高は184億ドルと、前年同期比409%急増した。ゲーム機半導体の売上高は28億7000万ドルだった。
ウルフ・リサーチのアナリスト、クリス・カソ氏はリポートで、「市場全体がこの決算報告を注視し、期待が高まっていた」と指摘し、ガイダンスは「勢いの持続をうかがわせる」十分力強い内容であり、「上向き傾向が下期まで継続する余地を残す」と分析した。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は「大規模クラウドとハイパースケール顧客がAI設備投資を促進する状況で、コンセンサスを上回るエヌビディアの第1四半期見通しは、 24年にかけての同社製GPUへの堅調な需要を示唆する」と見解を示した。
フアンCEOによれば、エヌビディアは対中規制に準拠した新たな半導体チップについて、中国の顧客に試供品を提供し始めた。ビジネスが再び上向く方向に役立つと期待される。
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原題:Nvidia Rises Most in About Nine Months as AI Drives Sales (1)(抜粋)