米CPI、2月+3.2%に加速 予想上回る

[ワシントン 12日 ロイター] – 米労働省が12日発表した2月の消費者物価指数(CPI)は、ガソリンや住居費の上昇で伸びが加速した。インフレに一定の粘着性があることを示唆し、市場が6月と見込む米連邦準備理事会(FRB)の利下げが後ずれする可能性がある。

2月のCPIは前月比0.4%上昇、前年同月比3.2%上昇。1月は前月比0.3%上昇、前年同月比3.1%上昇だった。ロイターがまとめたエコノミストの予想は前月比0.4%上昇、前年同月比3.1%上昇。

Reuters Graphics
Reuters Graphics

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルベーラ・ファルーキ氏は「当局者らは利下げに舵を切る前に、目標に向けた物価の持続的な減速を示すさらなる証拠を確認したいと考えている」と指摘。「今回のデータは、今後の政策決定を検討する際にFRB当局者が忍耐強く慎重なアプローチをとるべきであることをさらに裏付けるものとなった」と述べた。

ただ、中身を見るとディスインフレの傾向が続いていることが示された。ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクワドロス氏は「背景に年初に特有な季節的なパターンがあったとみており、ディスインフレは続いていると考えている」と指摘。ただ、インフレ率が持続的に2%に向かっていることを示す一段の証拠は今回のCPI統計には見当たらなかったと述べた。

広告 – スクロール後に記事が続きます

2月の前月比の内訳では、ガソリン価格が3.8%上昇。1月は3.3%下落だった。家賃を含む住居費は0.4%上昇。1月は0.6%上昇していた。ガソリン価格と住居費の2つで全体の前月比の上昇の6割以上を占めた。

食品価格は変わらず。1月は0.4%上昇していた。乳製品、果物、野菜、ノンアルコール飲料の価格が下落した一方、シリアルやベーカリー製品、肉、魚、卵などが上昇した。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「市場の評価は何かが間違っている。サービス価格の上昇が続き、コモディティー価格もこれまでのように下落せず、これらがインフレの進展を遅らせる一因となっているからだ」と述べた。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比が1月と同じく0.4%上昇。前年同月比では3.8%上昇で1月の3.9%上昇から鈍化し2021年5月以来の低い伸びになった。

前月比では家賃が0.5%上昇。1月は0.4%上昇だった。帰属家賃(OER)は0.4%上昇。1月は0.6%上昇だった。

広告 – スクロール後に記事が続きます

航空運賃は3.6%上昇。1月は1.4%上昇していた。自動車保険料は0.9%上昇。服飾、娯楽、中古車、トラックの価格も上昇した。一方、1月に0.5%上昇していた医療費は横ばい。病院サービス費は0.6%下落、処方薬も小幅に下落した。ただ、歯科サービスは0.4%上昇した。

サービス価格(エネルギーを除く)は0.5%上昇。前月は0.7%上昇していた。住宅を除くいわゆる「スーパーコア」の伸びは0.5%と、前月の0.8%から減速した。

財(モノ)の価格は0.4%上昇。前月は0.3%下落していた。

バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズのエコノミスト、スティーブン・ジュノー氏は「FRBはサービス部門のインフレがさらに緩やかになる必要があるとの見解を示しているが、2月のCPI統計ではそうした傾向が示された」とし、「6月に利下げサイクルが開始されるというわれわれの見通しが引き続き裏付けられた」と述べた。

Reuters Graphics
Reuters Graphics