バイデン氏、日本製鉄のUSスチール買収巡り懸念表明へ=関係筋

[13日 ロイター] – バイデン米大統領は日本製鉄(5401.T), opens new tabによる米鉄鋼大手メーカー、USスチール(X.N), opens new tab買収に対し懸念を表明する。事情に詳しい関係者が13日、明らかにした。

買収反対への政治的圧力が強まるとの見方から、USスチールの株価は13%急落して引けた。

この問題が、米国で4月10日に予定される日米首脳会談に影を落とす可能性もある。

11月の米大統領選でバイデン氏と再び対決する見通しとなった共和党のトランプ前大統領は、勝利すれば買収を阻止すると表明している。ホワイトハウスは昨年12月、同買収が「真剣な精査」に値するとの見解を示していた。 もっと見る

ホワイトハウスは13日、コメントを控えたが、事情に詳しい関係者によると、岸田文雄首相がワシントンを訪問する前にバイデン氏が買収に関して声明を発表するという。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、米政府高官と弁護士が声明を起草し、ホワイトハウスは内々に日本政府にバイデン氏の決定を伝えた。

日本製鉄とUSスチールは、バイデン政権による買収の精査を歓迎するとの共同コメントを出し、「客観的で包括的な調査でこの買収が米国の雇用や競争、経済・国家安全保障の強化につながることが示されるはずだ」とした。

また、全米鉄鋼労働組合(USW)と「活発で献身的な協議」を行っているとした。

米シンクタンク、外交問題評議会のマシュー・グッドマン氏はこの買収が米国の国家安全保障に対するリスクとの主張は「疑わしい」とし、信頼を置く安保上のパートナーである日本からの投資に疑義を呈することは両国関係を大きく損ねる可能性があると指摘。

今年が大統領選の年で、バイデン、トランプ両氏ともに鉄鋼労働者や労組に支持を訴えていることから、買収を巡る動きは「政治的要因が大きく働いている」と分析した。