Guy Faulconbridge、Alexander Marrow、Mark Trevelyan
[モスクワ 24日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は23日、モスクワ郊外のコンサートホールで起きた銃乱射事件の実行犯とみられる4人を拘束したと発表した。事件の背後にいる勢力を見つけ出して処罰すると表明した。
モスクワ州のボロビヨフ知事は、24時間で133人の遺体が収容されたとし、医師団が「107人の命を救おうと戦っている」と述べた。
プーチン氏はテレビ演説で、実行犯とみられる4人を含め11人を拘束したと明らかにした。「彼らは逃れようとしてウクライナに向かっていた」とし、ウクライナ側で国境を越える準備が整っていたと述べた。
連邦保安庁(FSB)によると、犯行グループはウクライナと接点があり、国境付近で捕らえられてモスクワに移送されているという。
プーチン氏は敵を「国際テロ」と位置づけ、これを打倒したいと望むどの国とも協力する用意があると述べた。
「実行犯、計画者、この犯罪を命じた人物は誰であろうと必ず報いを受ける」とし「テロリストの背後にいる者、この残虐行為、ロシアに対する攻撃、われわれの国民に対する攻撃を準備した者を全て特定し処罰する」と強調した。
プーチン氏もFSBも犯行グループとウクライナとの関係を示す証拠を示していない。
<米「ウクライナの関与ない」>
ウクライナのゼレンスキー大統領は責任転嫁を図るのはプーチン氏らの典型的なやり方だと述べた。
ウクライナ軍のユーソフ報道官は「ウクライナはもちろんこのテロ攻撃には関与していない。ロシアの侵略から主権を守り、領土を解放し、民間人ではなく軍隊や軍事目標を標的としている」とロイターに語った。
米国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官は「ウクライナの関与は一切なかった」と明言した。
米政府高官は過激派組織「イスラム国」(IS)の犯行声明を裏付ける情報を米当局は持っていると述べた。米政府は数週間前からロシアの攻撃の可能性を「適切に」警告していたと語った。
ISは23日、実行犯とされる4人の写真と襲撃の映像を公開した。約90秒の動画にはコンサートホールとみられる場所に侵入したグループの一人が人に向けて発砲する様子が映されていた。
報道によると、犯行グループはリュックサックに入れたガソリンを使ってコンサートホールで火をつけた。
アレクサンダー・キンシテイン議員によれば、武装グループはルノー車で逃走し、22日夜にベラルーシやウクライナとの国境に近い西部ブリャンスク州で警察に発見された。車内からはピストル、アサルトライフル用の弾倉、タジキスタンのパスポートが発見されたという。
BBCのロシア語サービスは情報筋の話として、実行犯の一人が現場のコンサートホールで、もう一人がブリャンスクで車内で殺害されたと伝えた。BBCは死亡したのは30歳のタジキスタン国籍の男としている。