Hannah Levitt

  • 400以上の使用事例を特定し、生成AIの導入を模索し始めている
  • ソフトランディングの確率、市場が見込む70-80%よりも低いと想定

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は人工知能(AI)について、同行が取り組む課題の中で最も大きい可能性があると語り、その潜在的な影響を蒸気機関に例えて「事実上あらゆる仕事を増強し得る」との見方を示した。

  ダイモン氏は株主への年次書簡でAIの重要性を語った。同行はマーケティングや不正行為、リスクなどで400以上のAI使用事例を特定し、多くのAI専門家やデータサイエンティストを集めて生成AIの導入を模索し始めている。

  同氏は「われわれはAIのもたらす結果が驚異的であり、かつ過去数百年の主要な技術的発明に匹敵するような革新的なものになると確信している」と述べ、「印刷機や蒸気機関、電気、コンピューティング、インターネットなどを思い浮かべてほしい」と続けた。

  同氏はまた、米国経済は依然として好調だが、インフレ持続や量的引き締め、ウクライナと中東で続く戦闘が大きなリスクになっているとの懸念を繰り返した。「市場はソフトランディングの確率を70-80%と織り込んでいるようだ。インフレと金利の低下に伴う緩やかな成長だ」と指摘した上で、「私はこれよりもずっと低い確率を見込んでいる」とも述べた。

  JPモルガンは財政支出の継続やグリーン経済への移行、地政学的な情勢変化といったインフレ圧力を背景に金利が2-8%、「もしくはそれ以上」になる可能性に備えているという。

  ニューヨーク株式市場で同行の株価は午前10時5分時点で小幅高。年初来の上昇率は約17%となっている。

原題:Dimon Likens AI’s Transformational Potential to the Steam Engine