Katherine Doherty
- ダイモン氏、かねて根強いインフレのリスクを警告
- 米国株、インフレ鈍化の兆しを好感して最高値更新
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は16日、著しい物価上昇圧力が依然として米経済に影響を及ぼしており、多くの投資家が予想しているよりも高金利は長期化するかもしれないとの考えを示した。
ダイモン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、グリーン経済、軍備増強の再開、インフラ支出、多額の財政赤字に関連するコストを指摘。「多くのインフレ圧力が目の前にある」とし、「基調的なインフレは、人々の期待通りにはなくならないかもしれない」と述べた。
15日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)は基調的なインフレ指標となるコア指数の前月比の伸びが6カ月ぶりに鈍化。これを受けて、利下げ観測が高まり、S&P500種株価指数とナスダック100指数は最高値で終えた。市場はしばらく健全であったが、必ずしも将来を予測するものではないとダイモン氏は述べた。
「株価は非常に高い。インフレが高止まりする、あるいは金利が上がるといったリスクは市場の予想以上に高いと思う」と指摘。「世界がソフトランディング(軟着陸)の可能性をどの程度織り込んでいるとしても、おそらくその半分くらいだろう。何か問題が起こる可能性は想定されているよりも大きいと考えている」続けた。
市場がこのような要素を織り込んでいない理由については「楽観論が多い」からだと答えた。
一方で、地政学が来年の経済の先行きを決定する要因になり得ると述べた。
ダイモン氏はかねてインフレは大方の想定以上に根強い恐れがあると警告してきた。JPモルガン株主への年次書簡では、金利が2ー8%「あるいはそれ以上 」になるシナリオに同行は備えていると述べている。
原題:Jamie Dimon Sees a ‘Lot of Inflationary Forces in Front of Us’(抜粋)