Viktoria Dendrinou
- 米国は数カ月前から働き掛け、欧州は法的リスクなど懸念し懐疑的
- 今週のG7財務相会議で焦点に、対ロシア制裁の効果も議題に
イエレン米財務長官は欧州連合(EU)諸国に対し、凍結されたロシア資産およそ2800億ドル(約43兆7100億円)相当の価値を解き放ち、ウクライナに持続的な金融支援を提供できる方法を見いだすため、米国とともに行動するよう促した。
イエレン長官は「ウクライナの利益のために、われわれの管轄区域に固定化されたロシアのソブリン資産の価値を解き放つ手段を一丸となって見つけることが極めて重要かつ喫緊の課題だ」と述べた。21日にフランクフルトで行われるスピーチの抜粋を米財務省が20日に公表した。
さらに「ウクライナが軍備を整え、社会に不可欠なサービスの資金を確保し、最終的に中長期的な再建ができるようにすることが重要だ」と語った。
米国は過去数カ月、ウクライナを支援するためにこれらの資産を使用するよう働きかけてきた。その方法としては、資産を差し押さえウクライナに資金を提供する、資産を証券化して債券を発行する、あるいは何らかの融資の担保として利用する方法まで、さまざまな選択肢がある。
欧州諸国は懐疑的な反応を示しており、このような動きが金融の安定性やユーロの役割に与える影響、法的リスクについて懸念を抱いている。凍結された資産の大半は欧州にある。
このトピックは、今週イタリアのストレーザで開催される主要7カ国(G7)財務相会議の主要な焦点となる。
同会議にはウクライナの財務相も参加し、ロシアに対する制裁の効果についても話し合う予定だ。
イエレン議長は「第三国を経由したものも含め、米国や欧州を原産地とする機密性の高い製品」の抜け穴を取り締まり、対ロシア制裁体制を強化するよう求めた。
原題:Yellen Urges EU Allies to Act Jointly on Frozen Russian Assets(抜粋)