Alex Wickham、Alicia Diaz
- 7月4日の損選挙控え、右派改革党から支持を取り戻したい狙い
- 保守党は「自暴自棄」、世論調査で支持率リードする労働党
英国のスナク首相が7月の総選挙を控えて公約した兵役を含む「国家奉仕」プログラムの復活は、25億ポンド(約5000億円)の財源調達と実行の方法を巡ってすでに実現性が問われている。
このプログラムは18歳の若者を対象に兵役もしくは社会奉仕活動を義務付けるもので、そのニュースは英各紙の一面を飾った。クレバリー内相は義務を果たさない場合でも刑事訴追されることはないと説明。与党保守党が7月4日に野党労働党に勝利した場合、このプログラムは実行可能なのかという疑問が広がっている。
「刑事罰はない。この件で刑務所に送られることにはならない」とクレバリー内相は26日朝、スカイ・ニュースの番組で発言。「奉仕は強制になる」と述べたが、具体的な方法には触れなかった。
一方で次期財務相候補と目される労働党のレイチェル・リーヴス氏は、このプログラムを保守党の「自暴自棄」な動きと酷評。恵まれない地域社会に充当すべき予算を横取りするものだと批判した。同氏はBBCで「計算の合わない小細工がまた発表されたに過ぎない」と述べたが、プログラム自体に対する労働党の姿勢は明らかにしなかった。
スナク首相が国民奉仕という奇策に打って出たのは、右派の改革党から支持を取り戻し、総選挙前に支持率の回復に弾みを付けたい狙いがある。与党内部の調査で改革党への票を割らせる可能性があるとの結果が出たことが、この方針を選択した理由だと首相に近い複数の関係者が明らかにした。
提案されているような兵役義務はイスラエルや韓国、シンガポールで採用されている。英国が徴兵制度を最後に導入したのは第2次世界大戦の数年後。同制度は1960年代に廃止された。
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原題:Sunak National Service Plan Faces Enforcement, Funding Questions(抜粋)