伊藤純夫、藤岡徹

  • 動向を今後も丁寧にモニタリング、日々の動きや水準にコメントせず
  • 金利上昇は財政圧迫、気を引き締めて健全化に取り組む-鈴木財務相

日本銀行の植田和男総裁は25日、長期金利が12年ぶりの1%台に上昇していることに関し、長期金利は金融市場で形成されることが基本になると語った。イタリア・ストレーザで開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の終了後、記者会見した。

  植田総裁は、大規模緩和の修正に踏み切った3月の金融政策決定会合で、国債買い入れは「これまでとおおむね同程度の金額で継続する」ことを決定したと説明し、「長期金利は金融市場で形成されることが基本になると考えている」と指摘。日々の短期的な金利の動向や水準にはコメントを控えるとしつつ、「市場の動向を今後とも丁寧にモニタリングをしていく」と述べた。

  新発10年債利回りは22日に11年ぶりの1%に上昇し、24日には1.005%と12年ぶりの高水準を付けた。日銀が早期に国債買い入れの減額や追加利上げに踏み切るとの思惑が背景にあり、市場では植田総裁の見解に注目が集まっていた。

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  会見に同席した鈴木俊一財務相は、「金利の上昇は利払い費の増加を招き、財政を圧迫する恐れがある」とし、これまで以上に気を引き締めて財政健全化の取り組みを進めていくと強調。低金利で国債が発行できた従来とは環境が異なるとし、「金利のある世界が到来したことを強く認識する必要がある」と主張した。

  G7会議では、為替レートの過度の変動や無秩序の動きは経済および金融の安定に悪影響を与え得るとしたコミットメントが再確認されたと説明。G7期間中にイエレン米財務長官との会談は行われなかったとも述べた。