広川高史、萩原ゆき
- 衛星打ち上げテスト行ったとの見方、物体の破片を海で特定-韓国軍
- 北朝鮮は27日から6月4日午前0時までに衛星打ち上げと通告
北朝鮮は27日午後10時43分ごろ、北西部から衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を試みたと林芳正官房長官が記者会見で発表した。黄海上空で消失し、宇宙空間への物体の投入はされていないと推定しているという。
林官房長官は、国連安全保障理事会に違反するとして北朝鮮に対して北京の大使館ルートを通じて「厳重に抗議し、強く非難した」と述べた。その上で、北朝鮮が今後もミサイル発射や核実験の実施を含めたさらなる挑発行為に出てくる可能性があるとも指摘した。
政府は一時、沖縄県を対象に全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令し、避難を呼び掛けた。その後、日本への飛来の可能性はなくなったとして解除した。
韓国軍は北朝鮮が衛星打ち上げテストを行ったもようだとの見方を示した上で、物体の破片を海で特定したと発表した。NHKは中国と北朝鮮国境付近で同日午後10時40分すぎに上空を飛行する物体が炎上する映像を放映した。爆発など何らかのトラブルがあったものとみられるとの日本政府関係者のコメントも報じた。
北朝鮮は27日午前0時から6月4日午前0時までの間に「人工衛星」を打ち上げると日本政府などに通報。日米韓3カ国は弾道ミサイル技術を使用した発射は、衛星打ち上げ目的でも国連安全保障理事会決議違反だとして中止を求めていた。27日、ソウルで開かれた日中韓首脳会談の終了を受けて北朝鮮が衛星打ち上げを試みた可能性がある。
韓国の尹錫悦大統領は会談後の共同記者発表で、衛星発射計画は国連安全保障理事会決議違反と指摘した上で、国際社会は厳しく対応すべきだと述べた。岸田文雄首相も「強く中止を求める」と発言していた。
北朝鮮は今年、偵察衛星を追加で3基打ち上げることを目指す方針を明らかにしている。昨年5月と8月にも軍事偵察衛星を打ち上げたが、いずれも失敗。11月21日に再度打ち上げ、軌道に投入した。