Paulina Cachero

  • 米住宅ローン金利は過去1カ月超にわたって7%前後で推移
  • 住宅所有者と非所有者の溝が深まり、貧富格差さらに拡大も
A new single-family home built in Westhampton Beach, New York,  May 22, 2024. 
A new single-family home built in Westhampton Beach, New York,  May 22, 2024.  Photographer: Bing Guan/Bloomberg

金利が高止まりする米国では、手頃な価格で持ち家を手に入れるというアメリカン・ドリームは実現不可能となりつつあるようだ。

  米国の住宅ローン金利は過去1カ月超にわたって7%前後で推移しており、3年前の2倍余りの水準が続く。昨年末にかけてのインフレ減速で多くの人が金利低下を期待していたが、今年に入って物価の伸びは再び加速傾向にあり、米金融当局は政策金利を20年来の高水準で据え置いている。

「最大の障害」は家賃、FRBのインフレ抑制で-利下げためらう理由

  高金利の圧力は米消費者の人生設計を狂わせており、より多くの人が住宅購入を諦めることで住宅所有者と非所有者の溝が深まり、貧富格差はさらに拡大するとみられる。住宅所有者は2023年にホームエクイティー(住宅のネット資産価値)が1兆3000億ドル(約203兆6000億円)増加した一方、賃貸市場では家賃が高止まりして家計負債は増加している。

米家計債務が過去最大、インフレ直撃で返済遅延も増加-NY連銀調査

  これらは11月の米大統領選に向け、経済に大きな不安を抱いている有権者の大きな関心事であるのは間違いない。

  実際、調査で明らかになった数字はかなり暗い。賃貸住宅に住んでいる人の60%は家を一生持てないと考えており、これはニューヨーク連銀が10年前に調査を開始してからの最高水準だ。不動産仲介会社レッドフィンによると、昨年の住宅市場では、一般的な世帯にとって手頃な価格の物件は全体のわずか16%しかなかった。

  レッドフィンのチーフエコノミスト、ダリル・フェアウェザー氏は「家を持つことはステータスシンボルだ。ただ、それがあまりに高嶺の花となれば、人々はそれを努力する価値があるものとしては考えないようになる」と指摘。「持ち家は中間層が追いかける夢ではなくなりつつあり、むしろ平均以上の富がある場合の憧れのようになっている」と語った。

関連記事

原題:Mortgages Stuck Around 7% Force Rapid Rethink of American Dream(抜粋)