Hannah Levitt

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、活況を呈しているプライベートクレジット(非公開融資)にいずれ問題が生じるだろうと予想。とりわけリテール顧客も投資できるようになっていることもあり、「地獄を見ることになりかねない」と警告した。

  ダイモン氏は29日、金融業界の会合で「流動性が比較的低いこうした金融商品の一部をリテール顧客にも提供したいかと問われれば、多分イエスだが、まったくリスクがないかのように振る舞うのはノーだと答えるだろう」と話した。

  1兆7000億ドル(約268兆円)に上るプライベートクレジット業界で、JPモルガンを含む銀行はシェアを伸ばそうと、アポロ・グローバル・マネジメントなどの業界大手に闘いを挑んでいる。一方で銀行勢は、独自の道を切り開こうともしている。JPモルガンはダイレクトレンディング用に自社バランスシートから100億ドル余りを確保したほか、他社との協力も計画。同社の資産運用部門はプライベートクレジット会社の買収を模索していると、ブルームバーグは先週報じた。

JPモルガンが買収先を模索、注目のプライベートクレジット分野で

  ダイモン氏はこの日、JPモルガンは主要プライベートクレジット会社の多くと取引していると語った。業界の一部企業は「素晴らしい」が、全部がそうなのではないとし、市場における問題は往々にして「良くない」企業が引き起こすと指摘した。

  株主に対する年次書簡の中で、ダイモン氏はプライベートクレジット業界が悪い市場という試練をまだ経験していないと指摘。「新商品の弱点」はそうした悪い市場で露呈する傾向があると記していた。

  プライベートクレジットの「取引の幾つかに対する格付け会社の評価を目にしたが、正直に言えばその格付けに衝撃を受けた。住宅ローンを少し思い出した」とダイモン氏は29日に語った。

原題:Dimon Says ‘There Could Be Hell to Pay’ If Private Credit Sours(抜粋)

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