Kamil Kowalcze、Alberto Nardelli

  • 中国商務相、独経済相に大型エンジン搭載車への関税引き下げを示唆
  • ショルツ独首相、交渉で解決策を見つけることに期待を表明

中国が輸出する電気自動車(EV)への追加関税導入をドイツの説得で欧州連合(EU)が撤回するなら、ドイツの高級車メーカーは恩恵を受けることになるだろうと、中国政府が示唆した。

  部外秘の協議内容だとして匿名を条件に語った関係者によると、EUが中国から輸入するEVに追加関税を課す計画を撤回する見返りに、中国は大型エンジン搭載車に対する既存の関税を引き下げることを提案した。中国は現在、EUから輸入する乗用車に15%の関税を適用している。

  中国の王文濤商務相がドイツのハーベック経済相と22日に北京で会談した際、この可能性をほのめかしたと、関係者の1人が明らかにした。この訪問の数週間前、EUは中国から輸入するEVに最高48%の関税を課す計画を打ち出していた。

EU、中国からのEV輸入に最高48%の関税賦課へ-来月から (2)

  中国側の提案は、この問題に対する両者のアプローチにずれがあることを浮き彫りにするEUの行政執行機関である欧州委員会は、巨額に上る中国の国家補助を徹底的に調査して得られた法的な結論に基づいて関税率を設定したと説明。関税賦課で国家補助による中国メーカーの優位性を打ち消し、競争条件を公平にすることが狙いだ。

  だが、法的措置は政治的な圧力の影響を常に受けやすい。中国政府はドイツを説得して取引をまとめようと、アメとムチをちらつかせている。中国はこれまでに大型エンジン搭載車に対する関税率を最大25%に引き上げる用意があると示唆。実行されれば、メルセデス・ベンツやBMWなどドイツの高級車メーカーが打撃を受ける。

  ドイツはこの関税に既に反対の姿勢を示しており、国内で極めて大きな地位を占める自動車業界の説得を受けて同国政府が欧州委員会や他の加盟国に圧力をかけるようになる恐れはある。

  ドイツのショルツ首相は24日、交渉で解決策を見つけたいとの期待を強調。中国から輸入するEVへの追加関税が暫定的に発動される7月4日まで、まだ時間はあると語った。

  首相はベルリンで行った実業界向けの演説で、「ただ、中国側の真剣な動きと前進が必要なのも明らかだ」と述べた。

  欧州委員会と中国商務省はコメントの要請に応じなかった。ドイツ経済省は王商務相の発言について確認を拒んだ。

Subsidies Per Electric Vehicle Are Declining in China

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Source: CSIS analysis

原題:China Floats Perks for German Carmakers in Bid to Stop EV Levies(抜粋)