Augusta Saraiva

  • PCEコア価格指数は前月比0.08%上昇-2020年11月以来の低さ
  • インフレ調整後の実質PCEは0.3%増-前月の減少から持ち直す
Shopping carts at a Costco store in Alhambra, California
Shopping carts at a Costco store in Alhambra, California Photographer: Eric Thayer/Bloomberg

米個人消費支出(PCE)コア価格指数は5月に伸びが鈍化した。年内利下げの論拠を補強する格好となった。

キーポイント
・変動の大きい食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は前月比0.1%上昇
 ・6カ月ぶり低い伸び
 ・4月は0.3%上昇(速報値0.2%上昇)に修正
 ・前年同月比では2.6%上昇-4月は2.8%上昇だった
・PCE総合価格指数は前月比横ばい-4月は0.3%上昇
 ・前年同月比では2.6%上昇-4月は2.7%上昇

  同価格指数はコアと総合のいずれも市場予想と一致した。

US Inflation Cools While Consumer Spending Rebounds | Households emboldened by strongest gain in disposable income since early 2023

  PCEコア価格指数の前月比は小数点第2位までを見るとわずか0.08%上昇と、2020年11月以来の低い伸びにとどまった。前年同月比の2.6%上昇は2021年3月以来の小幅な伸び。

  PCEは前月比0.2%増加。インフレ調整後の実質PCEは0.3%増と、財を中心に堅調な伸びを示し、前月の減少から持ち直した。個人所得は0.5%増加した。

  今回示された物価の伸び減速と堅調な支出の組み合わせは、米金融当局者に一定の安堵(あんど)感をもたらすとみられる。今週は一連の経済指標で景気の勢いが失われつつあることが示唆されていた。

  コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「経済は正しい方向に向かっている。持続的な成長、インフレの鈍化、労働市場のバランス正常化を伴っている」とリポートで指摘。「これはインフレが正常に戻りつつあると米金融当局に納得させるような良好なデータだ」と記した。

  同当局は今月、年内の利下げ予測を後退させていた。インフレが1-3月(第1四半期)に予想より悪化していたためだ。当局は利下げを開始する前に今回のようなデータをさらに確認したいと望むだろうが、5月のPCE統計はインフレが正しい方向に向かいつつあるという一定の期待を与えるものだ。

  KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は、「財価格のデフレと弱さが見られ始めつつある。少なくとも9月利下げの可能性が出てきた」と述べた。

  金融当局は住宅とエネルギーを除くサービスインフレに注目している。この指標はインフレの根強さをより強く示す傾向がある。5月は前月比0.1%上昇と、昨年10月以来の低い伸びとなった。

  高い借り入れコストが経済の一部セクターに打撃を与えているものの、家計需要はこれまでのところ底堅さを維持している。インフレ調整後のサービス支出は0.1%増。航空運賃やヘルスケアが伸びた。財への支出は0.6%増。コンピューターソフトウエアや自動車がけん引した。

  労働市場には一部鈍化の兆しも見られているが、堅調な賃金の伸びが引き続き個人消費の原動力となっている。賃金・給与は0.7%増。実質可処分所得は0.5%増加し、昨年1月以来の高い伸びを示した。前月は横ばいだった。

  貯蓄率は3.9%に上昇し、今年1月以来の高水準となった。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:Fed’s Favored Inflation Gauge Slows, Supporting Case for Cut (1)(抜粋)

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▽米PCEデータ、金融政策が機能していること示す-SF連銀総裁<bloomberg日本語版>2024年6月28日 22:42 JST