米CPI、6月は前月比-0.1%・前年比+3.0% 鈍化傾向続く

[ワシントン 11日 ロイター] – 米労働省が11日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、前月比でマイナス0.1%と予想外に下落した。前月比でマイナスになるのは2020年5月以来約4年ぶり。ディスインフレが確実に軌道に戻ったことが示され、連邦準備理事会(FRB)の9月の利下げがさらに一歩近づいた。

前年比では3.0%上昇。伸びは5月の3.3%から鈍化し、23年6月以来最小となった。

ロイター調査によるエコノミスト予想は前月比0.1%上昇、前年比3.1%上昇だった。CPIの前年比上昇率は、2022年6月の9.1%をピークに鈍化している。

変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは前月比0.1%上昇。伸びは前月の0.2%から鈍化し、21年8月以来最小となった。家賃の伸びが0.3%と、21年8月以来最小の水準に鈍化したことで、コア指数の上昇が抑制された。

コア指数は前年比3.3%上昇。伸びは前月の3.4%から鈍化し、21年4月以来最小となった。

<利下げ観測高まる>

CPIが2カ月連続で穏やかになったことで、FRB当局者の間で、インフレが沈静化しつつあるとの確信が強まる公算が大きい。ボストン大学のブライアン・ベスーン教授(経済学)は「7月のインフレ指標が異常な数値を示さない限り、FRBは9月に利下げに動く」とし、「9月利下げの指針は7月の会合で固められる」と述べた。

ウィリアム・ブレアのマクロアナリスト、リチャード・デ・シャザル氏は「FRBが雇用創出の鈍化にこれまでよりも重点を置く方向に微妙に方向転換する中、CPI統計が今回こうした内容になったことで、9月の利下げが確実に視野に入ってきた」と指摘。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「FRBのインフレとの長い戦いが終わり、ようやくトンネルの出口が見えてきた」とし、「今後かなりの回数の利下げが実施される」との見方を示した。

<家賃など広範に伸び鈍化>

6月はガソリンが3.8%下落。前月は3.6%下落していた。家賃を含む住宅費は0.2%上昇と、前月の0.4%から鈍化した。

食品は0.2%上昇と、前月の0.1%上昇からやや加速。生鮮食料品が0.1%上昇した。果物や野菜などが値下がりした一方、乳製品、肉、魚、卵が値上がりした。

医療費は0.2%上昇と、前月の0.5%から鈍化。航空運賃、中古車・中古トラック、新車、通信サービスなどは下落。一方、自動車保険料のほか、家具、娯楽、衣料などは上昇した。

帰属家賃(OER)は0.3%上昇。伸びは前月の0.4%から鈍化し、21年8月以来最小となった。

ネイションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボスティアンチッチ氏は「長らく予想されていたことだが、家賃インフレがようやく沈静化しつつあることが示唆された」としている。

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