• 経済は順調、秋には1回か2回の利下げがありそうだ-インタビュー
  • 市場の調整は「健全なことかもしれない」-ソロモン氏

ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、米経済がリセッション(景気後退)に陥ることはないとの予想を示し、連邦公開市場委員会(FOMC)による緊急利下げはないだろうと述べた。

  ソロモン氏はニューヨーク時間14日に放送されるブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで、「9月までに何かあるとは考えていない」と発言。「景気は順調に進み、恐らくリセッションにはならないだろう」と述べた。

  2日に発表された予想外の米失業率上昇を受けて、世界的に株式相場が大きく下げたため、FOMCが次回9月の定例会合を待たずに行動するとの臆測が投資家の間で広がっていた。5日のデリバティブ(金融派生商品)市場では一時、1週間以内に利下げがある確率が60%として織り込まれる場面もあった。

  6日現在の織り込み具合によれば、市場では緊急利下げはほぼないことになっている。ただ9月18日に明らかになる次回FOMCの決定が、0.5%の引き下げになるとの見方は根強い。

  「現在入手できている経済データと、米金融当局からのメッセージに基づくと、秋に1回か2回の利下げがある可能性は高いと考える」とソロモン氏は述べた。

  同氏は先週の日本銀行の追加利上げ決定で市場が動揺したと説明した。利上げにより多くの投資家がキャリートレードの解消を迫られたが、JPモルガン・チェースのストラテジストによると、円がなお過小評価されているため、巻き戻しはさらに進行する余地がある。

  多くの投資家は米経済のソフトランディング(軟着陸)を予想していたが、先週の雇用統計を受けてその見通しに疑問を呈する向きもあるとソロモン氏は発言。ただ、「雇用統計はひどい内容ではなく、単に事前予想よりも弱めだった」と語った。

リセッション確率

  ソロモン氏はかねて、市場は利下げペースについて楽観し過ぎていると述べていた。5月には、米金融当局が年内利下げ見送りを選択する可能性もあるとの見方を示唆したが、その後、この見解を後退させた。ゴールドマンのエコノミストは、来年の米景気後退の確率を15%から25%に引き上げた。

  ソロモン氏は市場の動揺について、市場が新たな経済データや金融政策見通しの修正に適応するまでの間、もう少し長く続くだろうと指摘。市場は「非常に力強かった上昇局面を経て、調整局面に入ったと考えている。それは健全なことかもしれない」とし、「ここから短期的にはボラティリティーが高まるだろう。今回は極めて大規模かつ極めて有意な調整だった」と話した。

原題:Solomon Says Fed Will Forgo Emergency Cut Despite Weak Jobs Data(抜粋)