Jarrell Dillard、Augusta Saraiva
- 先週の新規失業保険申請件数、1万7000件減の23万3000件
- ここ数週間に大幅増記録していた州で減ったことも全体の減少に寄与
先週の米新規失業保険申請件数は、ここ1年近くで最大の減少となった。7月の雇用統計が弱い内容となったことを受けて労働市場の沈静化ペースが速過ぎるとの懸念が出ていたが、今回の失業保険統計はそうした懸念の緩和に幾分つながる可能性がある。
キーポイント |
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・8月3日終了週の新規失業保険申請件数は前週比1万7000件減の23万3000件 ・ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は24万件 ・前週は25万件(速報値24万9000件)に修正 ・失業保険の継続受給者数は7月27日終了週に6000人増加し187万5000人 |
ミシガンやミズーリ、テキサスなど、ここ数週間に大幅な申請件数増加を記録していた州で今回減ったことも、全体の件数減少に寄与した。
申請件数が今回減少したことで、労働市場が急速に悪化しているのではなく、単に労働力人口が新型コロナウイルス禍前のトレンドに戻りつつあるだけだとの安心感が広がる可能性がある。
7月の雇用統計では雇用主が採用ペースを大幅に減速させたことが示されたほか、失業率は4カ月連続で上昇。それにより、元米連邦準備制度理事会(FRB)エコノミストのクラウディア・サーム氏が考案した「サーム・ルール」上、リセッション(景気後退)開始の目安となる数値に達した。これを受け、市場では先週まで、労働市場が急激に悪化しているとの見方が広がっていた。
米失業率またも上昇、雇用者数は予想以上に減速-9月利下げ固まる (3)
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのカール・ワインバーグ、ルビーラ・ファルキ両氏はリポートで、「労働市場が今後一段と大幅に軟化し、米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策に影響を与えるようなシグナルが出ないか注意する必要がある」と指摘。その上で、「データが発しているシグナルは緩慢な景気減速であり、縮小ではない」と述べた。
失業保険の新規申請件数と継続受給者数は共に今年に入り増加傾向にあるが、なお2019年の水準付近にとどまっている。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏はリポートで、「経済の軟化に伴いレイオフの範囲は拡大していると考えられる。失業率は10月までに4.5%に達するというのが、われわれの基本的な予想だ」と記した。
より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は24万750件に増加し、1年ぶり高水準。
季節調整前ベースの新規失業保険申請件数は約1万3600件減って20万3054件と、5月以来の低水準。テキサス州では、ハリケーン「ベリル」が上陸した7月上旬に申請件数が大幅に増加したが、このところは落ち着いてきている。ただ来週発表されるデータには、ハリケーン「デビー」の南東部襲来の影響が表面化する可能性がある。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Initial Jobless Claims Decline by Most in Nearly a Year(抜粋)