By 和田崇彦

全国コアCPI、7月は+2.7% 電気・ガスの補助終了で押し上げ

[東京 23日 ロイター] – 総務省が23日に発表した7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は108.3で、前年同月比2.7%上昇した。政府の電気・ガス価格激変緩和対策が終了してエネルギー価格の上昇幅が一段と拡大、伸び率は前月の2.6%を小幅に上回った。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は1.9%上昇となり、伸び率は2022年9月以来の2%割れとなった。携帯電話通信料のほか宿泊料も伸びが大きく縮小した。

コアCPIはロイターがまとめた民間予測2.7%上昇に一致した。

エネルギー価格は12.0%上昇と、前月の7.7%上昇から伸び率が拡大した。電気代は22.3%上昇、都市ガス代は10.8%上昇で、ともに前月を大きく上回った。電気代は1981年3月以来の高い伸び率。政府の電気・ガス価格激変緩和対策により、6月は総合指数が0.25%ポイント押し下げられていたが、同対策の終了で7月分では押し下げ効果がなくなった。

一方、携帯電話の通信料は0.6%上昇で、前月の8.8%上昇を大きく下回った。前年7月の一部会社の料金プラン改定による押し上げ効果が一巡した。

宿泊料は10.3%上昇で前月の19.9%上昇を大きく下回った。前年7月は全国旅行支援の実施自治体が同6月より少なく、宿泊料が高めになっていた。

生鮮食品を除く食料は2.6%上昇と、前月の2.8%上昇を下回った。原材料価格の転嫁の影響が剥落する中、伸び率の縮小は11カ月連続となった。

コア対象522品目のうち、上昇は392、下落は94、変わらずは36。上昇品目数は縮小が続いており、400品目を下回った。

財・サービス別では、サービス価格が1.4%上昇に鈍化。23年2月以来の低い伸び率。携帯電話の通信料や宿泊料の伸び率縮小が響いた。ただ、外食や家事関連サービスは材料価格の上昇を主因に伸び率が拡大した。

SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミストは、人件費上昇分の価格転嫁を通じたサービスインフレの広がりや加速は、先月に続き限定的だったと指摘する。

森氏は、価格改定が多い10月には「コストに占める人件費比率の高いサービス分野を中心に、人件費上昇分を価格転嫁する動きが強まる」と予想する。ただ、家計部門の節約志向は根強く、サービス消費が抑制されやすい状況が続いているため、サービス価格の上昇ペースは緩やかなものにとどまるとみている。

和田崇彦