Bloomberg(Bb)の記事を読みながらこの言葉を見つけた。「F O M C(公開市場委員会)」は知っているが、「F O M O」はまったく知らなかった。だいたいなんて読めばいいのだろうか。早速、いつものようにググってみた。答えは以下の通り、「FOMO(フォーモ)とは、英語の『Fear Of Missing Out』の略で、『取り残される不安・恐怖』を意味する言葉です。インターネットの普及を背景に、主にFacebookやX(旧:Twitter)、InstagramなどのSNSを通して現れる心理状態を指す際に用いられます」とある。へー、そうなの。意味を知った上で自問してみた。「君には時代に取り残されているという不安・恐怖はあるの?」。「若い人たちに比べると今様の言葉や流行に取り残されている気がするが、だからと言って不安・恐怖を感じることはない」、瞬時に答えが返ってきた。
Bbは今月はじめに急落し、その後落ち着きを取り戻しているマーケットに関連した記事でこの言葉を使っている。例えば米国の株式。急落後に急騰に転じているが、「S&P500種株価指数は今週、企業の自社株買いとシステマティックファンドやリテール投資家からの強いフローに押し上げられて過去最高値を更新し、市場ではFOMO(取り残される不安)が広がるだろうと、ゴールドマン・サックス・グループのスコット・ルブナー氏は予想している」と解説している。「取り残される」というより「乗り遅れる」恐怖といった方がわかりやすいだろう。相場の先行きが読めない中で、一部の投資家がガンガン買っている。市場には取り残されるのではないかといった恐怖感が広まり、意味もわからず買ってしまう投資家が増えるだろうとの予想だ。洋の東西を問わず投資家というのはいつも楽観的で、独善的だ。だからFOMO には要注意だ。
相場用語としてのFOMO はともかく、この言葉の本来の意味は「新しい情報や周囲の行動についていけないと、社会から置いてきぼりになってしまうという不安や恐怖を感じる心理状態」を指すようだ。Googleの説明には「FOMOは、2011年ごろに米国で話題に上り始め、New York Timesが取り上げたことで広まりました。近年は現代人のSNS病としてよくあがり、LINEのデフォルトスタンプにもなっています」ともある。10年以上前から使われていることばだ。不安や恐怖は感じないが世間の流行に「10年以上も遅れているのか」、改めて時代に取り残されていた時間の長さに驚いてしまった。とはいえ、知らないことはいいことかもしれない。巨大地震の発生日時を知っていれば、日常生活は常に恐怖心に覆われるだろう。人間は知っていることより知らないことの方がはるかに多い。それでも生活に支障はない。