Rita Nazareth
- 薄商いの中で不安定な値動き、VIXは約17に上昇
- スーパー・マイクロ急落、年次報告書を期限内に提出できないと発表
28日の米国株式相場は反落。エヌビディアの決算を引け後に控え、ボラティリティーが再び高まった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5592.18 | -33.62 | -0.60% |
ダウ工業株30種平均 | 41091.42 | -159.08 | -0.39% |
ナスダック総合指数 | 17556.03 | -198.79 | -1.12% |
S&P500種株価指数は薄商いの中、急落した5日以来の大幅安となる場面もあったが、その後下げを縮めた。エヌビディアも約2%安まで下げを縮小した。市場は同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が2025年にかけての需要動向をどう見ているかに関心を寄せている。
エヌビディアは通常取引後の時間外取引で下落。8-10月(第3四半期)売上高見通しが一部の高い期待に届かなかった。
ナスダック100指数は1.2%下落。恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は約17に上昇した。サーバーメーカーのスーパー・マイクロ・コンピューターは19%急落。2024年度(6月30日終了)の年次報告書(フォーム10K)を適時に提出できないとの見通しを示したことが嫌気された。
スーパー・マイクロが急落、24年度年次報告書の提出延期を発表 (1)
一方、ウォーレン・バフェット氏率いる投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの時価総額が初めて1兆ドルを超えた。
バフェット氏率いるバークシャー、時価総額が初の1兆ドル超え (1)
ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は、今週はこれまで 「ほぼ無風の状態」と述べた上で、エヌビディアの決算発表後にいずれかの方向に大きな動きがある可能性が高いと話す。
「少なくとも活動は活発化するはずだ」とメイリー氏。もちろん「活動」が大きく回復したからといって「ボラティリティー」が確実に高まるわけではないが、29日に投資家が静観していることはないだろうと述べた。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州担当最高投資責任者(CIO)、ソリタ・マルチェリ氏は、世界のハイテク株は過去3週間に急激に持ち直したが、今後の上昇はより緩やかになるはずだとみている。米国のマクロ経済データによる逆風のリスクや半導体輸出規制に関するさらなるニュースがボラティリティー上昇の要因になる可能性が高いという。
一方で「当社では広範な人工知能(AI)のテーマについて引き続き構造的にポジティブな見方を維持している。テクノロジー株は向こう数年にわたり成長をけん引すると当社は考えており、そのエクスポージャーを投資家が管理できる方法はある」と述べた。
米国債
米国債市場では、大きな材料を欠く中で長期債を中心に小幅安。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.12% | 1.2 | 0.28% |
米10年債利回り | 3.83% | 1.3 | 0.35% |
米2年債利回り | 3.87% | -3.4 | -0.88% |
米東部時間 | 16時56分 |
規模700億ドルの5年債入札は底堅い内容。最高落札利回りが3.645%と、入札前取引(WI)の入札締め切り時の水準3.642%を上回ったが、それでも2023年4月以来の低水準となった。
29日には7年債(発行額440億ドル)入札が予定されている。
為替
ニューヨーク外国為替市場ではドルが幅広く上昇。月末のポートフォリオ調整でドルが買われているとの見方が出ている。主要10通貨の中ではユーロの下げが目立った。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1229.74 | 4.26 | 0.35% |
ドル/円 | ¥144.62 | ¥0.66 | 0.46% |
ユーロ/ドル | $1.1120 | -$0.0064 | -0.57% |
米東部時間 | 16時51分 |
円は対ドルで1ドル=144円台後半に下落。一時は145円04銭まで売られた。
日本銀行の氷見野良三副総裁は経済・物価の見通しが実現する確度が高まれば緩和の度合いを調整していくと発言。市場変動や7月に決定した利上げの影響を見極める考えを示した。
当面は高い緊張感で市場注視、やるべき最初の仕事-氷見野日銀副総裁
クレディ・アグリコルCIBのG10為替調査・戦略責任者、バレンティン・マリノフ氏は「ドルは全般的に最近の下げを幾分取り戻すことができた」と指摘。「ドルは主要10通貨の多くに対して売られ過ぎの領域に入るとともに、過小評価された水準となっており、足元の為替の動向はこうした急激な動きの調整を反映している」と述べた。
原油・金
ニューヨーク原油先物相場は続落。テクニカル指標や米国の在庫統計、リビアからの供給などが意識された。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=75ドルを割り込んだ。これまで下値支持線だった200日移動平均線が、ここにきて上値抵抗線になっている。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間統計では原油在庫が再び減少となったが、先物相場を上昇に転じさせるには至らなかった。先週の原油在庫は84万6000バレル減少し、1月以来の低水準となった。
最近の原油相場は、中東の政治リスクやリビアからの供給懸念が支援材料となっていた。リビアの生産量は今週ほぼ半減し、日量100万バレル近くが世界市場から消えるリスクがある。
市場参加者は、リビアの生産停止が、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスの生産計画に影響を与えるかどうかを注視している。OPECプラス合同閣僚監視委員会(JMMC)の会合は10月2日まで開かれないが、需要減速懸念が引き続き相場を圧迫している中、OPECプラスが10-12月に計画している供給拡大に踏み切るかどうかについて、専門家の見解は分かれている。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で、WTI先物10月限は前日比1.01ドル(1.3%)安の1バレル=74.52ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント10月限は1.1%下げて78.65ドル。
金相場は下落。外国為替市場でのドル上昇により、ドル建てで取引される金の割高感が意識された。
「この1週間はドルが金相場の材料になっている」と、サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は指摘。「金をさらに上昇させるような米経済データがなかったため、長期上昇局面が続いた金で利益を確定させる誘惑がトレーダーの間で高まっている」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、前日比15.10ドル(0.6%)安の1オンス=2537.80ドルで取引を終えた。金スポット価格はニューヨーク時間午後1時35分現在、20.37ドル(0.8%)安の2504.27ドル。
原題:Stocks Trim Drop as Nvidia’s Results Minutes Away: Markets Wrap(抜粋)
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