ロシアの国立研究機関は、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出を受けて日本周辺の海水を調査した結果、海水に含まれる放射性物質の量は基準値を大幅に下回っていたとする報告書を公表しました。
日本側は「独自の調査で安全を確認する動きが出てきたことを歓迎したい」として、引き続きロシア側に対し日本産水産物の輸入規制の撤廃を求めていく方針です。

福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水の海への放出を受けて、ロシアは、去年10月から日本産の水産物の輸入を規制しています。

こうした中、ロシア極東のウラジオストクにあるロシア科学アカデミー極東支部太平洋海洋学研究所は、周辺の太平洋、オホーツク海、それに日本海で、処理水の放出が始まる前のおととしから独自に行ってきた海水の調査結果を8月30日、公表しました。

それによりますと、含まれるトリチウムは平均で1リットルあたりおよそ0.12ベクレルで、ロシアの安全基準の7700ベクレルを大幅に下回り、「懸念すべきレベルではない」としています。

日本周辺の海の魚介類についても「何の疑いもなく食べられる。心配する根拠は、いまのところない」と指摘しています。

在ロシア日本大使館は、NHKの取材に対し、報告書の内容を確認したとしたうえで、「これまでロシア側に科学的なデータを提供してきたが、独自の調査によって安全を確認する動きが出てきたことを歓迎したい」として、引き続きロシア側に対し日本産水産物の輸入規制の撤廃を求めていく方針を示しました。