By Trevor HunnicuttDavid Brunnstrom

日米豪印、海洋安保協力拡大へ 中国念頭に「威圧的な操船」非難

[クレイモント(米デラウェア州) 21日 ロイター] – 米国、日本、インド、オーストラリア4カ国の協力枠組み「クアッド」は21日、米デラウェア州で首脳会合を開き、アジアの海域における共同安全保障措置を拡大することを確認した。

バイデン米大統領は自身の地元近くで岸田文雄首相、インドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相と会談。外交政策の主要な成果と位置付けるクアッドを維持する重要性を強調した。

4カ国首脳は、海上保安機関による合同活動を来年行うと表明。場所については明らかにされていない。

当局者によると、各国は軍事兵站協力の強化を計画している。

各首脳はまた、2年前に発足した「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ」を拡大する方針も示した。

ホワイトハウスはクアッド首脳会合は他国に向けられたものではないとしているが、バイデン氏はグループセッション冒頭、中国に関するブリーフィングを行った。共同声明は中国を念頭に「南シナ海における威圧的かつ脅迫的な操船」を非難した。

アナリストは新たな海洋安全保障イニシアチブについて、中国へのメッセージであり、中国の意図に対する懸念の高まりを反映し、クアッドの活動の重点を安保問題にさらにシフトさせるものだと指摘する。

バイデン氏は中国について、南シナ海と東シナ海、そして台湾海峡で米国を試し続けながら、戦術は変えるが戦略は変えていないと指摘。公式イベントフィードによると、同氏は「われわれは習近平(中国国家主席)が国内の経済的課題に集中し、外交関係の混乱を最小限に抑えようとしていると考えている。私の見方では、彼はまた、積極的に中国の利益を追求するために一定の外交的余地を稼ごうともしている」と述べた。

<北朝鮮も非難>

共同声明は北朝鮮による弾道ミサイル発射や「悪意あるサイバー活動」も非難。米当局者によると、各首脳はロシアの北朝鮮への軍事支援を巡る懸念を共有しているという。

4カ国は中国との競争が激しくなっている太平洋諸島と東南アジアに対し、新しいオープンな無線アクセスネットワークを含む重要なセキュリティー技術を提供するための作業を強化する。保健分野では子宮頸がん撲滅を目指す。

バイデン氏はクアッドの持続力を問う質問を受けると、モディ氏の肩をつかみ、このグループは今後も存続すると答えた。

クアッドはトランプ前米政権時に外相級会合が開かれ、バイデン氏が2021年に首脳レベルに引き上げた。