▽イスラエルのヒズボラ攻撃で492人死亡、内戦以降最悪 1645人負傷<ロイター日本語版>2024年9月24日午前 8:00 GMT+9

[エルサレム/ベイルート/ 23日 ロイター] – イスラエル軍は23日、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラの標的に大規模な攻撃を実施した。レバノン保健省によると492人が死亡した。1975─90年の内戦以来、1日の死者数としては最悪という。

死者には医療従事者のほか、子ども35人が含まれる。負傷者は1645人に上るという。

イスラエルのガラント国防相は、この日の攻撃は約1年にわたる紛争の「重大なピーク」だったと言及。「われわれはきょう、数万発のロケット弾と精密兵器を破壊した。第二次レバノン戦争以降、ヒズボラが20年かけて築き上げたものを破壊した」と述べた。

イスラエル軍はレバノン国内のヒズボラ拠点約1300カ所を攻撃した。ハガリ報道官は、長距離巡航ミサイル、大型ロケット弾、短距離ロケット弾、爆発性ドローンなど攻撃したと表明。建物内に保管されていた弾薬が爆発し、二次的な爆発が多数発生したとしている。 市民に対しは、ヒズボラの兵器保管場所がある場所から離れるよう避難を通告していた。

ヒズボラは、イスラエル軍の拠点に向けロケット弾を発射したとしている。イスラエルが住宅の中に武器を隠したと主張していることについて、ヒズボラはコメントしていない。 南部戦線のトップを務めるアリ・カラキ高官は無事で安全な場所に移動したという。

一方、イスラム組織ハマスはレバノン南部の現地司令官が今回のイスラエルによる空爆で死亡したと発表した。

攻撃による被害が広がる中、イスラエル軍のハレビ参謀総長は、レバノンでの作戦の次の段階に向け準備を進めていると表明。詳細についてまもなく明らかにするとした。

イスラエル、レバノンのヒズボラ拠点攻撃 地上侵攻の必要性示唆

ガラント国防相は、住民が自宅に戻るまでこの作戦は続くと述べた。一方、ヒズボラはガザでの停戦が実現するまで戦うとしている。

イスラエルのネタニヤフ首相は、レバノン国民に宛てたビデオ声明を発表。「イスラエルはレバノン国民とではなく、ヒズボラと戦っている。ヒズボラはあまりにも長い間、レバノン国民を人間の盾として利用してきた」と語った。同時に、イスラエルがレバノン南部でのヒズボラへの攻撃を強化する中、現況は「複雑化」していると述べ、イスラエル国民に対し団結を保つよう呼びかけた。

<攻撃範囲を拡大>

目撃者によると、イスラエルの戦闘機はレバノン南部国境沿いの町のほか、さらに北の地域にも激しい空爆を行った。ヒズボラ系テレビ局アルマナルは、レバノン南部の多くの町周辺や東部ベカー高原、北部ヘルメル地域を標的としたイスラエル軍の空爆を伝えた。

国内メディアによると、これまで攻撃を受けたことのなかった地中海沿岸の都市ビブロスの東の山間部にロケット弾が着弾した。主要幹線道路は北部に避難しようとする人々の車やトラックで渋滞した。

イランのペゼシュキアン大統領は国連総会に出席するために訪れたニューヨークで、イランを挑発することでイスラエルはヒズボラとの戦闘にイランを引きずり込み、中東地域の全面衝突を誘発しようとしていると非難した。

イランや米国も巻き込み中東全域で紛争が起こる懸念が高まっている。

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