Cristin Flanagan
- 消費者信頼感指数、3年ぶり大幅悪化-株価指数は下落後に持ち直す
- 中国の景気刺激措置で関連銘柄や原油が上昇、金は続伸し最高値更新
24日の米国株式相場は小幅高。消費者信頼感指数が弱い内容となったものの、エヌビディアの大幅高に支えられプラス圏にとどまった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5732.93 | 14.36 | 0.25% |
ダウ工業株30種平均 | 42208.22 | 83.57 | 0.20% |
ナスダック総合指数 | 18074.52 | 100.25 | 0.56% |
S&P500種株価指数は今年41回目の最高値更新。ダウ工業株30種平均も記録を更新した。ハイテク株の比重が高いナスダック100指数は0.5%上昇。中国政府の景気刺激措置発表を受け、同国との経済的つながりが強い銘柄も買われた。
消費者信頼感指数は2021年8月以来の大幅な落ち込みとなり、主要株価指数は朝方にいったん下落した後、値を戻した。反転のきっかけはエヌビディア。フアン最高経営責任者(CEO)が保有株の売却を終えたとの報道で約4%上昇し、指数を押し上げた。
米消費者信頼感指数は労働市場に関する警告のメッセージと受け止められた。リッチモンド連銀の製造業データも予想より弱い数字となった。
「雇用に関する消費者の認識悪化に目を奪われた」とハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は語る。「経済の現況について金融市場に警告を発信する統計でもある」と述べた。
個別銘柄ではビザが5.5%安。米司法省はデビットカードをビザが独占しているとして、反トラスト(独占禁止)法違反の疑いで民事提訴した。中国の景気刺激措置を受けて、エスティローダーなどの株価が上昇。同社は売り上げの3分の1近くをアジアに依存している。
米国債
米国債相場は消費者信頼感指数の発表後に上昇し、利回り曲線は強気の傾斜を描いた。金利スワップ市場では11月連邦公開市場委員会(FOMC)の予測織り込み具合がハト派にシフトし、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げの確率は50%と織り込まれた。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.09% | -0.6 | -0.15% |
米10年債利回り | 3.73% | -1.9 | -0.51% |
米2年債利回り | 3.54% | -4.9 | -1.36% |
米東部時間 | 16時48分 |
利回りはこの日の最低水準付近。2年債入札が堅調だった後、短期債が長期債より好調を維持した。25日の5年債、26日の7年債に対する期待が高まった。
将来の利下げを予測する材料として、27日に発表される8月の個人消費支出(PCE)と同コア価格指数に投資家の注目が集まっている。
先週の50bp利下げで、米国債市場は新たなレンジに入ったとBMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンジェン氏は指摘。ここのところ見られた弱気な展開はいずれ、買いを呼び込む可能性を高めていると述べた。
「失業率が上振れする、あるいは個人消費に強い向かい風が吹く状況となれば、様子見に回されていた投資資金がじわじわと切り上がっている10年債と30年債の利回りに引き寄せられるだろう」と述べた。
一方で連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は「慎重な」ペースでの利下げを主張。インフレリスクは残っており、労働市場は著しく軟化しているわけではないと論じた。同理事は先週のFOMCで唯一、50bpの利下げに反対票を投じた。
他のFRB当局者からは、インフレから雇用へと重点をシフトするべきだとの見解が相次いでいる。シカゴ連銀のグールズビー総裁は前日、労働市場を守り経済を支えるには金利が「大幅に」に引き下げられなくてはならないとの見解を示した。
外国為替
円相場は小幅高。欧州時間では一時対ドルで144円68銭まで下げた。日本銀行の植田和男総裁は政策判断に「時間的な余裕はある」との見解を改めて示し、これを受けてドルが対円で支援される場面もあった。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1218.38 | -5.65 | -0.46% |
ドル/円 | ¥143.18 | -¥0.43 | -0.30% |
ユーロ/ドル | $1.1178 | $0.0067 | 0.60% |
米東部時間 | 16時48分 |
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は下落。消費者信頼感指数の低下を受けて、次回FOMCでの50bp利下げ期待が強まった。
対ドルで上昇が顕著なのはオーストラリア・ドル。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は政策金利を12年ぶりの高水準に据え置き、長期にわたって維持する可能性を示唆した。
中国人民銀行(中央銀行)はこれまでで最も広範な景気刺激策を打ち出し、世界的にリスクセンチメントが改善。ニュージーランド・ドルは約1%上昇する場面もみられた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は反発。中国当局が景気浮揚策を発表したため、買いが入った。レバノンを拠点とする親イラン民兵組織ヒズボラへのイスラエルの攻撃で中東情勢が緊迫したことも買い材料。
アルゴリズムに基づくトレーダーが弱気ポジションを解消しつつある兆候も相場を下支えした。
中国人民銀行の潘功勝総裁は、経済成長目標の達成に向け、これまでで最も広範な景気刺激策を打ち出した。
中国人民銀、広範な景気刺激策発表-不動産・株式市場をてこ入れへ
中国経済の低迷に対する懸念に加え、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」の供給拡大見通しにより、今四半期の原油価格は約12%下落している。この日に発表された中国の景気刺激策は、世界最大の石油輸入国である中国の成長とエネルギー需要を支える可能性がある。
ライスタッド・エナジーのグローバル市場分析ディレクター、クラウディオ・ガリンベルティ氏は「中国政府が発表したパンデミック以来最大規模の景気刺激策は、中東における地政学的緊張の急激な高まりと、メキシコ湾岸における新たなハリケーンの脅威と相まって、過去3週間にわたって原油市場を支配していた弱気心理に変化をもたらした」と指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物11月限は1.19ドル(1.7%)高の1バレル=71.56ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は1.7%高の75.17ドルで引けた。
金
金スポット相場は4営業日続伸し、最高値を更新した。米金融当局者の発言を消化しながら、買いが入った。重要な経済指標の発表に備える動きにもなった。
金スポットは一時1.4%上昇し、1オンス=2664.39ドルを付けた。FOMCが18日に政策金利を0.5ポイント引き下げた翌日以降、金は上昇している。
UBSグループはリポートで「高値更新は一部の投資家を落胆させるかもしれないが、まだ上昇の余地があると考える理由はいくつかある」と指摘。追加緩和観測や地政学的緊張の悪化、投資家や中央銀行からの根強い需要を挙げた。
スポット価格はニューヨーク時間午後3時56分現在、1.3%高の2661.68ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物12月限は24.50ドル(0.9%)高の2677.00ドルで引けた。
原題:Stock Rally Propped Up by Nvidia’s Climb: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Rally Led by Front-End, Hold Gains After 2-Year Sale(抜粋)
Australian Dollar Rises to Highest Since July 2023: Inside G-10(抜粋)
Oil Advances After China Announces Sweeping Support Measures(抜粋)
Gold Hovers Near Record as Traders Digest Latest Fed Comments(抜粋)