Rheaa Rao、Isabelle Lee

  • 中国の景気刺激策は波及せず、FRB議長講演と物価統計に関心移る
  • 金はまた最高値更新、リビア中銀総裁人事が決着し原油は大幅反落
Pedestrians on Wall Street near the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, US, on Monday, Sept. 16, 2024. 
Pedestrians on Wall Street near the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, US, on Monday, Sept. 16, 2024.  Photographer: Yuki Iwamura/Bloomberg

外国為替市場ではリスク志向の低下を背景にドルが上昇。円のほか、ノルウェー・クローネとニュージーランド・ドルも対ドルで1%余り下げた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1226.267.880.65%
ドル/円¥144.80¥1.571.10%
ユーロ/ドル$1.1130-$0.0050-0.45%
  米東部時間16時45分

  ジェフリーズのブラッド・ベクテル氏は「中国の景気対策が誘発した熱狂は完全に冷めた」と指摘した。

  マネックスのヘレン・ギブン氏は「月末のフローもドルを押し上げ始めている。今月は変動が激しい月だった。新しい四半期に入ることはドルに有利になる可能性が高い」と述べた。

  円は対ドルで一時144円84銭まで下げた。ただ、CIBCキャピタル・マーケッツのノア・バファム氏はドル・円に弱気な見方を示す。「次の大型イベントは日本時間27日発表の東京消費者物価指数(CPI)だ」とリポートで指摘。「ドルは対円で年末にかけて135円水準に向けて売り込まれると当社ではみている。市場が織り込んでいるよりもFRBはハト派的であり、日銀はさらにタカ派的になると見込まれるからだ」と述べた。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数はあと1%弱下がれば、今年の上げを帳消しにする。米金融緩和の道筋がトレーダーの関心を集め、再度の大幅利下げが決定する可能性が議論されている。

米国株

  米国株式相場は総じて軟調。投資家は住宅市場のデータを消化しながら、米政策金利の道筋に関心を寄せている。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5722.26-10.67-0.19%
ダウ工業株30種平均41914.75-293.47-0.70%
ナスダック総合指数18082.217.690.04%

  S&P500種株価指数は3日ぶりに下落。ナスダック100指数は小幅高で引けた。引け後に決算を発表したマイクロン・テクノロジーは、時間外で一時10%上昇。

  この日発表された米経済指標では、8月の米新築住宅販売が前月比で減少。一方で住宅ローンの30年物固定金利は8週連続で低下し、住宅購入の需要を喚起している。こうした情報は経済と住宅市場を見極める手がかりとして注目されている。

  不動産ウェブサイト運営ジローのチーフエコノミスト、スカイラー・オルセン氏は「住宅ローン金利が下がっていること、そして最近起きたその変化はわれわれが待ち望んでいたものかもしれないことに、買い手は気づき始めている」とブルームバーグテレビジョンで指摘。その上で「住宅ローン金利はここからはあまり大きく下げないとみられる。期待先行で早めに下がったからだ」と説明した。

  先週に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが通過し、経済成長への不安が根強い状況で、市場では新たな材料が求められている。中国政府が発表した最新の景気刺激措置は、アジア市場を越えて波及せず、投資家は26日のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長講演と27日の個人消費支出(PCE)価格指数に目を向けている。

  アンジェレス・インベストメンツの最高投資責任者(CIO)、マイケル・ローゼン氏は「市場は3年前からFRBの緩和政策を過大に見積もってきた。今もそうだと思う」と話す。「しかし50bpの利下げで少し変わったのは、先制的に動き、景気への配慮と経済状況の受け入れを強めることに前向きになったFOMCの姿勢であり、これまでのインフレ重視一辺倒とは異なる」と述べた。

  UBSグローバルのソリタ・マルチェリ氏は「FRBが成長支援にコミットし、パウエル議長がリセッション(景気後退)リスクは今も低いとの認識を示した。株式投資家はこれを歓迎している」と指摘。「しかし米経済をソフトランディング(軟着陸)に導く上でFRBがどこまで成功するかが、他の資産クラスの今後を見通す上で重要になる」と述べた。

   ブラックロックの米州担当チーフ投資・ポートフォリオ・ストラテジスト、ガルギ・チャウドリ氏は徐々に減速しながらもプラス圏を維持するのが米経済成長の基本シナリオだと述べた。

  「しかし経済は熱気を失うと外からの衝撃に弱くなる。米選挙などボラティリティー(変動性)を誘発する可能性があるイベントに、当社では注意していく」と続けた。

米国債

  米国債利回りは上昇。5年債入札とオラクルの起債が注目された。

国債直近値前営業日比(BP)変化率
米30年債利回り4.14%6.01.47%
米10年債利回り3.79%6.11.63%
米2年債利回り3.56%2.10.60%
  米東部時間16時45分

  5年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、この日の米国債では特に軟調。700億ドル相当の入札では、最高落札利回りが2023年4月以来の低水準となった。

  クルーズ&アソシエーツのシニアマネジングディレクター、ダニエル・マルホランド氏は向こう数日の相場展開について、「市場は大量の中期債供給を消化しなくてはならない」と指摘。「連邦公開市場委員会(FOMC)後に売られた後、コンセッションがほとんどないため、かなりの買いが誘発された」と説明した。

  市場が織り込むペースでの追加利下げが新たな経済データに示唆されるまで、投資家は低い利回りでは積極的に買えないのかもしれない。24日の時点で金利スワップ市場が完全に織り込んだ年内利下げは50bpと25bpの両方。つまり11月会合で50bpが引き下げられる可能性は50%の確率となっている。

  ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「これまでの強い相場上昇を考え、米国債に対する確信は若干低下している。現時点では買いよりも売りの方が有利だ」と話す。

  次回FOMC前に発表される9月と10月の雇用統計のいずれかについて、「米経済には50bpの追加利下げは必要ないと思うが、雇用者数が弱い数字となれば話は別だ」と述べた。

原油

  ニューヨーク原油先物相場は大幅反落。リビアの東西両勢力が新中央銀行総裁の指名で妥協したため、同国の原油生産の再開につながるとの見方から売りが出た。

  リビアの東西両政府の代表が中銀当局者の任命手続きで合意に達したと、国連代表が発表した。

  米中の消費低迷に加え、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」の供給拡大計画により、供給過剰になるとの懸念が既に市場で広がっており、リビアの原油生産が再開すれば、さらに悪化する可能性がある。中国人民銀行(中央銀行)が打ち出した景気刺激策で24日の原油価格は上昇したが、これが世界最大の原油輸入国である中国のエネルギー需要拡大につながるかどうかは不明だ。

  シティー・インデックスのアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏はリポートで、中東における潜在的な供給障害に対する懸念が投資家の頭の片隅にあるとしても、「この日の相場下落は需要懸念が長引くことを示唆している」と述べた。

Oil's Recovery Stalls | WTI has rebounded after slumping below $66
WTI原油先物出所:ブルームバーグ

  25日に発表された米統計によると、先週の原油在庫は447万バレル減少し、2022年4月以来の低水準となった。24日に発表された米国石油協会(API)推計が同規模の減少を示していたことから、在庫減はあまり材料視されなかった。

  イランのペゼシュキアン大統領がイスラエルによるレバノン攻撃について、「放置できない」と発言するなど、地政学にも注目が集まった。

  不透明な中国経済の行方とOPECプラスの供給拡大見通しから、原油は今四半期も下落を続けている。OPECプラスは24日、世界の石油需要は今世紀半ばまで伸び続けるとの見通しを示した。

  ハリケーン「ヘレン」はメキシコのユカタン半島を通過中で、26日にフロリダ州に上陸するとみられる。同州では一部の石油・天然ガス施設で避難が始まっている。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物11月限は1.87ドル(2.6%)安の1バレル=69.69ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は2.3%安の73.46ドルで引けた。

  金スポット相場は小幅ながら5日続伸し、最高値を更新した。前日に発表された9月の消費者信頼感指数が3年ぶりの大幅な落ち込みになったことが引き続き材料視され、金利先安観から買いが続いた。

  金スポットは一時、1オンス=2670.57ドルに上昇した。

  金利スワップ市場では年内0.75ポイント余りの利下げが織り込まれている。金利低下は、金利を生まない金に利益をもたらす傾向があり、ドル安は多くの買い手にとって金を割安にする。

  金は年初来で29%上昇しており、連邦公開市場委員会(FOMC)が先週、0.5ポイントの利下げに踏み切って以来、上昇が勢い付いている。

  スポット価格はニューヨーク時間午後2時49分現在、0.1%高の2660.02ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物12月限は7.70ドル(0.3%)高の2684.70ドルで引けた。

原題:Dollar Advances, Norwegian Krone Lags Behind Peers: Inside G-10(抜粋)

S&P 500 Snaps Two-Day Climb With Fed in Focus: Markets Wrap(抜粋)

Treasury Yields March Higher as Bond Supply Daunts Investors(抜粋)

Oil Drops on Signs Libya Supply Disruptions Potentially Easing(抜粋)

Gold Trades Near Record High as US Data Support Deeper Rate Cuts(抜粋)