イラン、イスラエルに向けミサイル発射 100発超との報道

[エルサレム/ベイルート/ドバイ/ワシントン 1日 ロイター] – イスラエル軍は1日、イランがイスラエルに向けてミサイルを発射したと発表した。180発超のミサイルが国内に向け発射された。イスラエルは、イランの攻撃が「重大な結果をもたらす」として、報復を示唆した。

イラン革命防衛隊は国営テレビを通じ、イスラエルに向けミサイルを発射したと発表。レバノンの親イラン派武装組織ヒズボラに対するイスラエルの軍事行動への報復攻撃とみられる。イスラエルが報復に出れば、イランの対応は「より壊滅的で破滅的なもの」になると警告した。

イラン国営通信社によると、イランはイスラエルの軍事基地3カ所を標的にした。イラン革命防衛隊は声明で、発射したミサイルの90%が目標に到達したとしている。

イランのミサイル発射後、イスラエル国内では警報のサイレンが鳴り響き、市民らが防空壕などに避難した。エルサレムなどでは爆音が聞こえた。国営テレビの記者らが生中継中に地面に伏せる姿が放映された。

イスラエル当局によると、同国の防空システムがミサイルを迎撃するため作動した。米当局者はロイターに対し、米海軍の艦艇が、イランがイスラエルに向け発射した一部の飛翔体の迎撃を支援したと明らかにした。

ロイターの記者は、イスラエルの隣国ヨルダンの領空でミサイルが迎撃される様子を目撃。イスラエル軍によると、イランの攻撃を受けてイスラエルの空域は閉鎖された。

イスラエル軍はその後、警報や避難指示を解除。イスラエル軍のハガリ報道官は、イランのミサイル攻撃によって負傷が出たという報告は受けていないと述べた。ただ、攻撃は深刻で、重大な結果をもたらすと警告した。

パレスチナ自治区ヨルダン川西岸当局の情報では、エリコ近郊で男性が死亡したという。

イスラエルのダノン国連大使は声明で「われわれはこれまでも国際社会に対し明らかにしているが、イスラエルを攻撃するいかなる敵も痛みを伴う対応を覚悟しなければならない」と言明した。

イスラエルのメディアによると、イスラエル軍はイランの攻撃を受けて中東全域で1日夜半に「強力な攻撃」を続けると表明した。

イスラエル当局者によると、ネタニヤフ首相や他の閣僚数名はエルサレム近郊の地下壕で会合を開いているという。

イラン政府高官はロイターに対し、イスラエルへのミサイル発射命令は、同国の最高指導者ハメネイ師によって出されたと明らかにした。ハメネイ師は現在、安全な場所にとどまっているという。

また、イラン国連代表によると、イランはイスラエル攻撃について、米国に事前通告していなかったという。

イスラム組織ハマスは、イランの攻撃がハマスのハニヤ前最高指導者やヒズボラの前指導者ナスララ師殺害に対する「英雄的な」報復として称賛した。

バイデン米大統領はXへの投稿で、米国がこれらの攻撃からイスラエルを守り、同地域にいる米軍部隊を守るためにどのように準備しているか、ハリス副大統領らと協議したと明らかにした。

ホワイトハウスの国家安全保障会議によると、バイデン大統領は米軍に対しイランの攻撃に対するイスラエルの防衛を支援し、イスラエルを狙ったミサイルを撃墜するよう指示した。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、イランによるイスラエルに対する弾道ミサイル攻撃は「重大なエスカレーション」と非難。「われわれは今回の攻撃には重大な結果が伴うことを明確にしてきており、それを示すためにイスラエルと協力する」と述べた。

米政権は状況を注視しており、対応策に関してイスラエル側と協議中とした。また、イスラエルが死傷者を出すことなく攻撃を撃退したようだという認識を示した上で、ヨルダン川西岸でパレスチナ民間人が死亡したという報道について調査していると述べた。

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