きょうもまた政局批判。われながら嫌になる。石破総理・総裁はきょう衆議院を解散する。裏金議員の非公認ー公認ー非公認とぶれまくったあげく、「選挙に勝つために一部議員を非公認にした」(7日)と説明した。全国幹事長会議での発言だが、その際「国民の批判は思ったよりはるかに強く、批判や怒りに真摯な姿勢を示しつつ、誠心誠意この選挙を戦っていく」と述べている。いまごろになって庶民の怒りを理解したのだろうか。今回の判断について一部メディアは、「ようやく石破カラーが発揮された」「蛮勇を振るった方針転換」など、評価する声がある。政治部出身の大記者に多いような気がする。「そうだろうか」、当たり前のことではないのか。決めるまでドタバタ劇を繰り返した総理・総裁、あるいは自民党の新執行部の判断が“甘すぎる”というべきではないのか。責任は現執行部だけではない。岸田前総理・総裁時代の生半可な党内処分に裏金問題をめぐる権力のおぞましさが隠されている気がする。

今年の4月、自民党は裏金問題で該当者の処分を決めた。離党勧告2人、党員資格停止(1年間)2人、同(半年)1人、党役職停止(1年間)9人など、裏金議員39人が対象だ。裏金をもらった人は総勢88人いる。処分されたのは半分以下、大半の議員はお咎めなしだ。当時執行部は真相解明に向けて党内調査、政治倫理審査会の開催など多面的な努力をしたことは認める。だが、裏金の資金使途をはじめ真相は一向に解明されず、庶民の苛立ちは募る一方。政治資金規正法の改正は中途半端の一言に尽きる。いまごろになって廃止が検討されている政策活動費は、10年後の公開というピントはずれな改正を行なっている。この件で維新の会が賛成に回っている。破竹の勢いだった同党にとってこれは、致命的な判断ミスだったという気がする。なぜこんなことに。個人的には岸田前総理が真相解明より、この問題を利用して自らの権力基盤を強化しようとした思惑があったためだと考えている。

そんな経緯を経た上で自民党は任期満了に伴う総裁選挙に突入する。岸田氏の不出馬もあって、総裁選は自民党の信頼回復に向けた出直し選挙となった。麻生派を除いて派閥が解散された中で実施された今回の選挙、位置付けは自民党の改革と刷新だったはずだ。だが、水面下の相も変わらぬ権力闘争を経て誕生したのが石破政権だ。その政権がドタバタ劇を繰り返したあと、「総選挙に勝つために一部議員を非公認にする」と決断した。この決断をあたかも“勇断”などと称するメディアならびにコメンテーターがいること自体が驚きだ。本当に党を改革したいのなら石破氏はもっと早くから、岸田前総裁の生半可な処理を批判すべきだった。それもせず規制法改正に賛成票を投じている。ドタバタ劇の裏で経済政策は岸田政権を引き継ぐとまで言っている。石破政権の主流派は菅副総裁、森山派(幹事長)、岸田派ということらしい。が、実質は岸田前総理・総裁主導ということだろう。これは改革なのか、何を刷新したのだろう・・・。