Stocks fall amid rout in chipmakers.
Stocks fall amid rout in chipmakers. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

15日の米国株式相場は反落。オランダの半導体製造装置大手ASMLの決算が失望された。半導体輸出規制が厳格化される可能性も懸念され、これまでの強気相場を率いた半導体株への売りがかさんだ。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5815.26-44.59-0.76%
ダウ工業株30種平均42740.42-324.80-0.75%
ナスダック総合指数18315.59-187.10-1.01%

  フィラデルフィア半導体株指数は9月上旬以来の大幅な下げとなり、相場全体を過去最高値圏から引きずり下ろした。ASMLの米預託証券(ADR)は2025年の業績見通し引き下げを嫌気し、16%下落した。エヌビディアは4.5%下落。同社や他の米半導体メーカーが製造する人工知能(AI)向け先端半導体について、バイデン政権が国ごとに販売規制を検討していると関係者が明らかにした。

関連記事:エヌビディア製などAI半導体、米政府が国別輸出規制を検討-関係者

  株式に対する投資家の見方は非常に強気で、世界的に株式を売却するタイミングとなっている可能性があると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)が実施した投資家調査で示された。マイケル・ハートネット氏率いるストラテジストが15日まとめたリポートによれば、株式への資産配分が拡大した一方で、債券へのエクスポージャーは縮小。現金の資産配分比率は10月に3.9%と、前月の4.2%から縮小し、世界の株式の「売りシグナル」が点灯した。

  ジャニー・モンゴメリー・スコットのダン・ワントロブスキ氏は「米株市場は大型株の主導に傾斜を強めていたが、決算シーズンに入った現在、チャート上で買われ過ぎと過度の伸長が示されたため、利益確定が見られるようになった」と解説した。

  ユナイテッドヘルス・グループは業績見通しを嫌気して株価が大幅下落。決算が予想を上回ったバンク・オブ・アメリカ(BofA)は上昇したが、ゴールドマン・サックス・グループはほぼ変わらず。シティグループは好調な決算にもかかわらず下落した。

Chipmakers Getting Hammered | Shares drop most in over a month
フィラデルフィア半導体株指数の騰落出所:ブルームバーグ

  米株式相場は年末に向けて上昇基調を継続し、S&P500種株価指数は6000を上回るとゴールドマン・サックス・グループのスコット・ルブナー氏は予想。法人買いが市場に戻り、機関投資家がヘッジを外すことが見込まれるという。

relates to 【米国市況】株反落、ASMLショックで半導体下落-ドル149円台前半
BofAグローバルFMS平均キャッシュ水準出所:バンク・オブ・アメリカ(BofA)

  個別企業のニュースではボーイングが最大250億ドルの資金調達に向け、発行登録書を規制当局に提出した。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の7-9月(第3四半期)決算は市場予想を上回った。がん治療薬「ダラザレックス」の売り上げが急増した。

国債

  米国債相場は上昇。原油価格の急落でインフレ加速への懸念が和らいだ。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.32%-9.2-2.10%
米10年債利回り4.03%-7.1-1.72%
米2年債利回り3.95%-1.0-0.25%
  米東部時間16時44分

  10年債利回りは2カ月半ぶりの高水準から低下し、一時は7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて4.03%を付けた。

Hand In Hand | US bond yield moves have been closely entwined with shifts in crude oil prices
米10年債利回り(右軸)とWTI原油先物(左軸)出所:ブルームバーグ

  コメルツ銀行の金利・クレジット調査責任者クリストフ・リーガー氏は「このところのディーラーの動きは単に原油先物に自動的に反応しているみたいだ」と語る。「この状況で長期のインフレ予想を調整することが理にかなうかどうかは別の問題だ」と述べた。

  原油価格は数週間前から激しい値動きを続けており、トレーダーは世界石油供給の約3分の1を担う中東を注視している。しかし米国のインフレ懸念は賃金の強い伸びを示した雇用統計や、予想を上回る消費者物価指数(CPI)もきっかけとなった。

  7-10日にエコノミスト29人を対象に実施した調査では、11月の米大統領選で民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前大統領のいずれが勝利しても、今後4年間のインフレ率は連邦準備制度理事会(FRB)が予測する長期水準を上回るとみられている。

関連記事:ハリス、トランプ両氏いずれが勝利でもインフレ率や成長率は同程度か

  トランプ前大統領がブルームバーグとのインタビューで関税引き上げの正当性を主張したが、米国債相場は上昇を維持した。

外為

  外国為替市場ではブルームバーグ・ドル指数が上昇。2カ月ぶりの高水準に達した。トランプ氏はブルームバーグとのインタビューで、メキシコや欧州、中国などとの貿易を挙げ、外国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げる案の正当性を主張した。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1249.462.620.21%
ドル/円¥149.21-¥0.55-0.37%
ユーロ/ドル$1.0889-$0.0020-0.18%
  米東部時間16時44分

  ドルは対円では一時148円85銭まで下げ、前日の上昇分を帳消しにした。150円試しに失敗したことから、ロング筋は利益確定モードに入ったと欧州のトレーダーは指摘した。

  アムンディの債券・為替戦略担当ディレクター、パレシュ・ウパダヤ氏は「トランプ氏当選への期待が高まっているため、市場は同氏の発言に注目している」と指摘。「選挙までわずか3週間の現在、市場はトランプ氏当選の見通しを織り込む必要がある。為替市場では関税に関する発言が直接影響する」と述べた。

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.3%上昇。トランプ氏は「私にとって最も美しい言葉は、関税だ」と述べ、中国が「メキシコで巨大な自動車工場を建設している」と指摘した。メキシコ・ペソはこの日の安値に下落し、ドルは対ペソで一時約2%上昇した。

関連記事:トランプ氏、関税は成長を促進と主張-日鉄のUSスチール買収阻止へ

Dollar Index Rises to Highest Since Early August | Trump comments on tariffs add to dollar climb
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数出所:ブルームバーグ

  マッコーリー・グループのストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は「トランプ氏の戦略はメキシコへの信頼感を損なう可能性が高いとわれわれは見ているが、同氏の発言はそれを強固にした」と発言。「メキシコ・ペソにはもっと大きく下げるリスクが生じている」と述べた。

  トランプ氏の通商政策は最終的にドルを押し上げるというのが、ウォール街で一般的な見方になっている。輸入関税は米国外での通貨フローを妨げ、インフレ率と金利の上昇につながりかねないからだ。貿易戦争の長期化は世界的なリスクセンチメントへの重しとなり、逃避先通貨としてのドルをさらに支援する。

  バークレイズの外為ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コニング氏は「トランプ氏が掲げる通商や財政、外交政策はどれもドルへの追い風だ」と指摘。最も影響を受けるのは中国のように対米貿易で大幅な黒字を抱える国だろうと述べた。

原油

  ニューヨーク原油相場は大幅安。イスラエルがイランの石油生産施設を標的にしない可能性があるとの一部報道を受け、供給混乱を巡る懸念が後退。来年早期にかなりの供給過剰が生じるとの見通しにトレーダーの関心が移った。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は一時5.6%下げて1バレル=70ドルを割り込む場面もあった。ただその後、中国の住宅都市農村建設省と財政省、中国人民銀行(中央銀行)が17日の記者会見開催について発表すると、下げを縮めた。

  米紙ワシントン・ポスト(WP)が報じたところでは、イスラエルのネタニヤフ首相はバイデン政権に対し、イランの石油・核施設ではなく軍事施設を攻撃する用意があると伝えた。その後イスラエルは、石油・核施設を攻撃対象から外すよう求めた米国の要請に関し、「米国の意見に耳を傾けるが、最終決定はイスラエルの国益に基づいて下す」と発表した。

  また国際エネルギー機関(IEA)は15日、2025年早期には石油が供給過剰になるとの見通しを示した。

Oil Slumps on Report Israel May Not Target Iranian Crude | Prices fell after Washington Post report
ブレント先物とWTI先物出所:ICE、NYMEX

  INGのアナリスト、エワ・マンティー、ウォーレン・パターソン両氏はリポートで、イスラエルがイランの石油インフラを標的にしないという最新の兆候は、「短期的に原油市場の大きな懸念を取り除いた」と記した。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物11月限は、前日比3.25ドル(4.4%)安の1バレル=70.58ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント12月限は3.21ドル(4.1%)下落し74.25ドルで引けた。

  金スポット相場は上昇。米国をはじめ複数の中央銀行当局者の発言を消化する中で、金は買い進まれた。

  金スポットは一時0.8%上昇して1オンス=2668ドルを上回り、9月に記録した過去最高値に接近。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は14日、「データを総合的に判断したところ、利下げペースに対しては9月会合で必要とされた以上の慎重さを持って進めていくべきだとみている」と述べた

  一方、メキシコとモンゴル、チェコの中銀で外貨準備を担当するそれぞれの当局者は同日、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)が米マイアミで開催した年次業界会議のパネルセッションで、金について前向きな発言を行った。

Gold Rises as Traders Weigh Fed Rate Cut Moves | Yellow metal approaches record high
金スポット価格出所:ブルームバーグ

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時48分現在、前日比16.23ドル(0.6%)高の1オンス=2664.77ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は13.30ドル(0.5%)上昇の2678.90ドルで取引を終えた。

原題:Stocks Halt Rally as Nvidia, ASML Getting Crushed: Markets Wrap(抜粋)

Treasuries Rise as Slide in Oil Helps Ease Fears Over Inflation(抜粋)

Dollar Rises as Trump Vows More Tariffs to Support US Growth (1)(抜粋)

Dollar Gains to Session High as Trump Talks Tariffs: Inside G-10(抜粋)

Oil Tumbles Following Report Israel Won’t Target Iran’s Crude(抜粋)

Gold Gains as Traders Weigh Path Forward for Fed Rate Cuts(抜粋)