米国の有力議員が日本に対し、半導体製造装置の対中輸出規制の強化を求めた。日本が行動しない場合、米国は日本企業に独自の規制を課したり、中国に輸出するメーカーが米国の半導体補助金を受け取れないようにする可能性があると警告している。
米下院中国特別委員会の共和・民主両党の幹部2人は、山田重夫・駐米日本大使に宛てた15日付の書簡で懸念を伝えた。書簡の内容をブルームバーグが確認した。
同委員会を率いる共和党のジョン・ムーレナー議員と民主党のラジャ・クリシュナムルティ議員は現行規制により東京エレクトロンなどの半導体製造装置メーカーは既に大きな打撃を受けているとの主張を否定。中国の半導体開発の野望を抑えるには日米オランダの協力が重要だと強調した。
これらのメーカーが現行規制によって打撃を受けているという指摘は「精査に耐えるものではない」と両議員は書簡で述べた。同委のスポークマンに書簡に関するコメントを求めたところ、その箇所を指摘した。日本大使館にコメントを求めたが、すぐには返答はなかった。
バイデン政権は中国の軍事力向上につながる人工知能(AI)へのアクセスを阻止する取り組みの一環として、これまでも日本とオランダに対して半導体規制強化を迫っていた。
米国が求める半導体技術の対中輸出規制強化に日本とオランダが難色を示している背景には、両国とも既存の規制措置が定着するのを待ちたい考えで、11月の米大統領選の結果を見極めたいとの意向もあるとみられる。特に日本は、中国が新たな規制に反発して日本の自動車メーカによる重要鉱物へのアクセスを制限する可能性を懸念している。
9月のブルームバーグ報道によると、中国高官は日本側と行った数回の会合で、中国企業への半導体製造装置の販売および関連サービスの提供をさらに制限すれば厳しい経済的報復措置を講じると示唆した。
輸出規制に関する議論はこれまで中国の最先端半導体の製造能力に焦点が当てられてきた。しかし、今回の書簡では、最先端以外のプロセッサーの製造能力についても懸念が示された。
原題:Japan Pressed by US Lawmakers to Strengthen Chip Curbs on China(抜粋)