新型コロナウイルスにより所得が減少した生活困窮者に最大200万円を無利子で貸し付ける「コロナ特例貸付金」で、全体額の3割にあたる4684億円(131万件)が回収不能となったことが会計検査院の調べで分かった。さらに返済免除の申請が出ており、回収不能額は膨らむ恐れがある。

 同貸付金は、貸し付け後も困窮が続く場合は返済が免除される仕組みで、回収不能の総額が明らかになるのは初めて。検査院は「貸し付け後の生活再建支援が不十分」と指摘した。

 厚生労働省は、低所得者や高齢者などの世帯が安定した生活が送れるよう、低金利で融資する「生活福祉資金貸付制度」を実施している。コロナ禍の2020~22年には制度を拡充。コロナ特例貸付金と呼ばれ、生活費が減った世帯を対象に無利子で382万件、総額1兆4431億円を貸し付けた。当時はスピードが重視されて条件が緩和され、借り入れの際の面接や自立支援のための計画書の作成が不要とされた。

 同貸付金は、その後も所得の減少が続く住民税非課税世帯などは返済が免除される。23年1月から始まった返済について検査院が調べたところ、24年3月末時点で191万件、計6614億円が返済中だったが、131万件、計4684億円は返済免除が決まり、回収できなくなっていた。貸付総額の32%にあたる。返済者の収入がコロナ禍以前に戻っていないとみられている。

生活再建のフォローアップ支援に不備

 厚労省によると、24年8月…