[ワシントン 22日 ロイター] – イエレン米財務長官と国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は22日、中国が最近発表した景気刺激策が内需を大幅に押し上げる可能性は低いとの見方を示した。
中国人民銀行(中央銀行)と財政省から、過剰生産を吸収し成長を押し上げるような需要喚起策は今のところ発表されていないとした。
イエレン氏はIMF・世界銀行年次総会の記者会見で「中国の国内総生産(GDP)に占める個人消費の割合を高めることが、不動産部門の問題への対処とともに非常に重要」との見方を示した上で、今のところこれに対処するような政策は見られないと述べた。
グランシャ氏はIMFの世界経済見通しに関する会見で、中国の財政刺激策は現時点で詳細が不足しているため、中国の成長見通しには反映されていないと説明。人民銀が先月発表した金融緩和策も成長を大きく押し上げる効果はほとんどないとの見方を示した。
また、グランシャ氏はインタビューで中国の産業政策について、一部業界に有利に働いている可能性はあるが、同国の輸出や対外黒字拡大の根本原因ではないとし、内需の弱さや米国の過剰消費を含むマクロ要因が黒字拡大の主因だと述べた。
その上で、米中の不均衡を縮小する方法は、現在輸出に回されている生産を吸収するために内需を押し上げることで、そのためには消費者心理を冷やしている不動産部門の問題を解決する必要があると指摘。また、米国が財政を引き締めれば、中国からの輸入品に対する過剰な需要が抑制されるとした。
一方、イエレン氏は中国の「極めて莫大な」補助金が特に電気自動車(EV)や車載電池、太陽光、半導体など米製造業の雇用を脅かしていると述べた。
同氏によると、米中は向こう1週間にワシントンで経済・金融分野の作業部会を開き、中国の工業生産能力について協議する見通し。