外国為替市場で円の対ドル相場は小幅下落。朝方には153円87銭まで売られたが、9月の米求人件数発表後には一時的に上昇する場面もあった。
連邦公開市場委員会(FOMC)の決定を約1週間後に控える中、この日発表された9月の米求人件数は減少し、2021年1月以来の低水準となった。10月の米消費者信頼感指数は1月以来の高水準となった。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1262.81 | 0.95 | 0.08% |
ドル/円 | ¥153.35 | ¥0.06 | 0.04% |
ユーロ/ドル | $1.0818 | $0.0006 | 0.06% |
米東部時間 | 16時48分 |
クレディ・アグリコルのストラテジストは、「円は米国債利回りの動きに敏感なため、米選挙の影響を最も受けやすい主要10通貨の一つだ」とリポートで指摘。「トランプ氏が勝利した場合には、日本の当局に円買い介入の意欲があるかどうか次第だが、ドルは対円で160円に向かって上昇するリスクがある」と述べた。
その上で、「ハリス氏が勝利した場合は150円の方向に下落する可能性がある」と続けた。
日本銀行は今週開く政策決定会合で、金利を据え置くと広く予想されている。
ドル指数は小幅高。サウジアラビアで開催の「フューチャー・インベストメント・イニシアティブ(FII)」に集まった大手金融機関トップらは、市場の米利下げ観測について行き過ぎている可能性があると示唆した。
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ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の市場戦略グローバル責任者ウィン・シン氏は、「米国の実質賃金の伸び率はプラスで、労働需要は良好、家計のバランスシートは力強く、家計支出が国内総生産(GDP)成長の重要な追い風となり続けることを示唆している」とリポートで指摘した。
株式
S&P500種株価指数は小幅続伸。大手テクノロジー銘柄の一角が買われた。ナスダック総合指数は最高値を更新した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5832.92 | 9.40 | 0.16% |
ダウ工業株30種平均 | 42233.05 | -154.52 | -0.36% |
ナスダック総合指数 | 18712.75 | 145.56 | 0.78% |
29-31日には大手テクノロジー企業の決算発表が相次ぎ、これらの時価総額は合わせて12兆ドル(約1800兆円)を超える。
ウルフ・リサーチのクリス・セニェック氏は「これらのグループがアウトパフォームするには、売上高と利益のより大きなサプライズを投資家が確認する必要があるだろう」と指摘。「堅調な決算シーズンとなれば、同グループは年末にかけて再びアウトパフォームの道筋を進む可能性があるというのが当社の感触だ」と述べた。
通常取引終了後の時間外取引では、グーグル親会社のアルファベットが上昇。引け後に発表した決算で、売上高と利益が市場予想を上回った。一方、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は下落。同社は低調な売上高見通しを示した。
個別企業のニュースではこの他、アップルは小型デスクトップPC「Mac mini」のデザインを約15年ぶりに刷新。本体の幅と奥行きをそれぞれ5インチ(約12.7センチメートル)に小型化し、より高速な「M4」プロセッサーを搭載した。マクドナルドの7-9月(第3四半期)決算は、売上高が市場予想を下回った。フランスや中国、英国、中東など米国以外の市場で弱さが見られた。ペイパル・ホールディングスの10-12月(第4四半期)の売上高見通しは市場予想に届かなかった。
国債
国債相場は小幅に上昇(利回りは低下)。この日実施された7年債入札(発行額440億ドル)で旺盛な需要が見られたことを受けて、下げを埋める展開となった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.50% | -3.1 | -0.68% |
米10年債利回り | 4.25% | -2.8 | -0.65% |
米2年債利回り | 4.10% | -4.2 | -1.00% |
米東部時間 | 16時48分 |
国債相場は月間ベースでは約2年ぶりの大幅安となりそうだ。景気の底堅さを示唆する指標や、来週の米大統領選に備える動き、中長期債の大量供給が背景にある。
アメリベット・セキュリティーズの米金利トレーディング・ストラテジー責任者、グレゴリー・ファラネロ氏は「今後数日、数週間に市場が消化しなければならない情報はまだかなり多い」と指摘。「センチメントは脆弱(ぜいじゃく)だ」と話した。
米財務省は30日、来週の四半期定例入札の規模を発表する。
原油
ニューヨーク原油先物相場は続落。中国が追加の刺激策に動く可能性はあるものの、市場はイスラエルによるレバノン攻撃に沈静化の兆しが見られることに反応した。
イスラエルのネタニヤフ首相がレバノンでの戦闘における外交的解決について会合を開くとの報道を受け、原油相場は値下がりした。この日の早い段階では、中国が今後数年間で10兆元(約215兆円)を超える追加借り入れを認めることを検討しているとの報道に反応し、1.7%高となる場面もあった。
原油市場で長く続いた戦争プレミアムは大幅に巻き戻されている。特にイスラエルがパレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの短期間の停戦にオープンな姿勢を示したことで、巻き戻しの動きは加速した。これにより、脆弱(ぜいじゃく)なファンダメンタルズに再び注目が集まりつつある。接戦となっている米大統領選が迫っているほか、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で構成される「OPECプラス」は12月から生産引き上げを開始する計画だ。
TDセキュリティーズの商品ストラテジスト、ダニエル・ガリ氏は「中東の紛争におけるこの章は完結したと、トレーダーは結論付けた」と指摘。「ここからはOPECによる今後の決定と、その決定が原油市場の出血を止めるのに十分かどうかが焦点になる」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物12月限は、前日比17セント(0.3%)安の1バレル=67.21ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント12月限は30セント(0.4%)下落の71.12ドルで引けた。
金
金スポット相場は上昇し、過去最高値を更新した。トレーダーは最新の米経済指標と、1週間後に迫った米大統領選に注目している。
金スポットは一時1.1%高の2773.60ドルを付け、先週記録した最高値を更新。ドルの上昇をよそに買い進まれた。金はドル建てで取引されることから、通常はドル安の状況が金にはプラスとなる。
サクソバンクはリポートで、「他の市場でリスクプレミアムが低下しているにもかかわらず、金は今週これまでの時点で上昇している。これは市場の焦点が引き続き米大統領選であり、特に『トランプ2.0』の可能性に注目していることを裏付けている」と分析。「政策の混乱拡大や貿易関税、地政学リスクの増大がもたらされる可能性がある」と付け加えた。
スポット価格はニューヨーク時間午後2時37分現在、前日比30.58ドル(1.1%)高の1オンス=2773.04ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物12月限は25.20ドル(0.9%)上昇の2781.10ドルで引けた。
原題:Nasdaq Hits Record as Alphabet Jumps in Late Hours: Markets Wrap(抜粋)
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