リーブス英財務相は30日、スターマー労働党政権で初の秋季財政報告を行い、400億ポンド(約8兆円)の増税を明らかにした。増税規模は数十年ぶりの大きさで、借り入れも増やす。前保守党政権が残した財政赤字の穴埋めに充当するとともに、労働党が選挙公約で掲げた国家再生の10年に乗り出す。
増税はとりわけ企業と富裕層への打撃が大きく、税負担は戦後最高となる見込みだ。リーブス氏は下院で「われわれが引き継いだ事態の深刻さと規模を過小評価してはならない」と述べ、「今日ここに立つ財務相が誰であろうとも、この現実を突きつけられるだろう。そして責任感のある財務相であれば、行動するだろう。だからこそ私は今、財政の安定を取り戻し、公共サービスを再建しようとしている」と表明した。
同氏は800年に及ぶ英財務相の歴史において、予算案を発表した最初の女性財務相となった。財政のゆとりが予想以上に少なく、高債務を見込む予算案の長期的な影響が市場では消化され、英国債価格は下落した。
今回の財政報告によれば、国民保険料率について雇用主側の負担分を2025年4月から1.2ポイント引き上げ、15%とするほか、雇用主が同保険料を負担しなければならない従業員の対象を広げる。
さらにキャピタルゲイン課税の税率を引き上げ、資産運用会社の利益であるキャリードインタレストへの税率も32%に引き上げられる。
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英債務管理庁(DMO)によれば、2024-25年度の国債発行額は2970億ポンド。ブルームバーグがまとめた債券ディーラー16人の予想(2930億ポンド)とおおむね一致した。