今から3カ月前、ハイテク大手が膨大な資金を投じて人工知能(AI)の開発を行ってきたにもかかわらず、その成果は費用に見合わないとして、ウォール街はそうした企業の株式を売ることで批判的なシグナルを送った。
そして7-9月(第3四半期)の決算が出そろった今、テクノロジー大手が出した方針はさらなる投資の拡大だ。
アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アルファベット4社の設備投資は今年、計2000億ドル(約30兆4400億円)をはるかに超える見通しで、過去最高となる。今週四半期決算を発表した4社の経営陣は、来年も大幅な支出が続く、あるいは加速する可能性があると投資家に警告した。
この大型支出計画が浮き彫りにしているのは、対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」の登場が引き起こした世界的なAIブームが、膨大なコストとリソース消費につながっている状況だ。大手テクノロジー企業は需要に応えようと、限られた高性能半導体の確保と広大なデータセンターの建設を急いでいる。こうした施設で必要になる電力の供給でエネルギー会社と契約を結び、中には問題を起こした原発の復活まで実現させている。
アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)氏は10月31日、AIについて「実に異例な規模であり、一世一代のチャンス」と投資家向けの電話会議で話し、同社が今年の支出を過去最高の750億ドルと見込んでいることを指摘した。ジャシー氏は「AIを積極的に追及する当社の長期姿勢を、顧客や企業、株主は好意的に受け止めるだろう」と語った。モフェットネイサンソンのアナリストらは、アマゾンの支出について「まったく仰天した」と述べた。
原題:Tech Giants Are Set to Spend $200 Billion This Year Chasing AI(抜粋)