第47代大統領就任が確実になったドナルド・トランプ氏が早速動き出した。今朝ニュースを見ていたら、主席補佐官にスージー・ワイルズ氏を指名したと報道されている。この人は大統領選挙対策本部でクリス・ラシビータ氏と共に共同議長を務めていた人だ。ロイターによるとワイルズ氏は、1980年にレーガン氏の選挙運動に携わり、2016年、2020年には上級顧問としてトランプ氏のフロリダ州での勝利に貢献した。過去にはフロリダ州知事選のロン・デサンティス氏を勝利に導いたこともある。その後袂を分ちトランプ陣営に移る。デサンティス氏が予備選に参入した時には、同氏の弱点をすべて把握していたとも言われる。元々は政治コンサルトだが、長年政治の裏方として働いてきたせいか、選挙で勝つためのポイントはしっかりと抑えているようだ。ロイターによると「物静かで、たまにジャーナリストと顔を合わせるときでも、手短な回答に終始するのが普通だ」という。こういう人が真に実力のある補佐役なのだろう。

ロイターは今年の2月にトランプ陣営の裏方を紹介する記事を配信している。タイトルは「論点:トランプ氏を支えるキープレーヤーたち、陣営新幹部は表舞台に出ず」。改めてこの記事を読んだが、トランプ氏は勝つべくして勝ったという気がする。トランプ氏といえば、最初の政権では陣営内の対立抗争に明け暮れていたというイメージがある。「論点」によると新しい陣営は「6人ほどの側近で固められている。ボスであるトランプ氏に揺るがぬ忠誠を捧げ、ほぼ黒子役に徹している。勝手放題のアドバイザーたちが内紛やメディアへのリーク、解任騒ぎを繰り返していた過去のトランプ陣営とは好対照だ」と紹介している。この陣営を切り盛りしてきたのが共同議長を務めるラシビータ氏とワイルズ氏だ。「たいていの人はワイルズとは誰なのか、ラシビータとは何者なのかを知らない」ようだ。そうだと思う。裏方に徹するというのはそういうことだ。

トランプ氏は裏方を切り盛りする2人について「彼らは何の称賛も求めていない。ただ勝利をめざし、米国を再び偉大にしたいと願っているだけだ」と紹介している。「何か話すことや写真に映ることは望んでいない。ただ任務を果たしたい、それだけだ」とも。論点によると「今回の選挙運動は、ワイルズ氏に依存する部分が大きい」という。彼女は「活動予算から移動の予定に至るまで、あらゆることに目配りしている」ようだ。そして「大物の支持を獲得し、各州の共和党に働きかけて有利なルール変更を実現し、ライバルへの口撃を絶やさず、複数の刑事訴訟を逆手に取り巧みな選挙戦略を企て、イベントには赤い帽子をかぶった支持者が詰めかけるように準備する」。こうした責務を淡々とこなしてきた。その裏方が主席補佐官として表舞台に登場する。相手にするのは国内だけではない。国際政治で蠢く猛者たち。国内では政敵や暗殺志願者まで様々な難問が控えている。責務はこれまでよりはるかに激烈だろう。