中国は8日、地方政府の債務借り換えを目的とした10兆元(約213兆円)規模のプログラムを発表した。低迷する経済を下支えするとともに、トランプ前米大統領がホワイトハウスに返り咲くことで生じ得る新たなリスクに備える。

  国営新華社通信は、中国は地方政府の債務上限を35兆5200億元に引き上げ、今後3年間で6兆元の特別債を追加発行し隠れ債務をスワップできるようにすると報じた。

  当局はその後、地方政府は同じ目的でさらに5年間で総額4兆元の新たな特別地方債枠を利用できると明らかにした。

  この計画は、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が承認。北京で4日に始まった全人代常務委の会議は8日に閉幕した。5日投票の米大統領選は、中国製品に60%の関税を課すと示唆しているトランプ氏が勝利を収めた。

  中国は金融リスクの抑制と景気浮揚を目指しており、ほとんどのエコノミストによる予測の上限に近い規模の対策となった。当局が年度途中で地方政府の債務上限を引き上げるのは2015年以来。

  藍仏安財政相は記者会見で、債務スワップは「国内外の環境や安定した経済・財政運営を確実にする必要性、地方政府の実情を考慮した大きな政策決定だ」と述べた。

  同相は、債務スワップにより5年間で約6000億元の利払いが節約でき、その分を投資や消費を増やよう活用できると想定。また、23年末時点での隠れ債務残高は14兆3000億元だとも説明した。

原題:China Unveils $1.4 Trillion Debt Swap to Help Local Governments (抜粋)