日本製鉄の森高弘副社長は米国を訪問する予定で、鉄鋼大手USスチールのピッツバーグ地域の工場に関わる労働組合代表らと来週会談を行う。
森氏による訪米は、141億ドル(約2兆2000億円)でのUSスチール買収が一般組合員の長期的な見通しに望ましいものであると日本製鉄が説得を試みていることを示している。買収案については、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査がなお続いている。返り咲きを果たしたトランプ次期大統領は選挙戦で、買収を阻止する考えを示している。
全米鉄鋼労働組合(USW)のローカル2227副会長、ジェイソン・ズガイ氏は、森氏から個人的に電子メールを受け取り、同氏と来週会うことに同意したとインタビューで明らかにした。日程はまだ決まっていないという。またピッツバーグのエドガー・トムソン工場、クレアトン工場、アービン工場から複数の組合員を同行させる予定だと述べた。
ズガイ氏はまた、日本製鉄の買収計画に一貫して反対しているUSWのデービッド・マッコール国際会長が森氏との会合に出席し、買収への立場を再考することを期待していると語った。
マッコール氏は13日、地元の組合員が森氏との会合に同意したことは関知していないと説明。USWは設備投資を保証する書面での契約を日本製鉄に求めているとの立場を改めて示した。さらに現行の取引条件は、国家防衛と重要なサプライチェーンの犠牲の上に成り立つと述べた。
情報の部外秘を理由に匿名を条件に語った関係者によると、森氏は今回の訪米で、ニューヨークとワシントンにも立ち寄る可能性が高い。訪米は数週間前から計画されていたが、11月5日の米大統領選が終わるのを待っていたと関係者は述べた。
原題:Nippon Steel’s Mori to Meet With Steelworkers in Pittsburgh (1)(抜粋)